1月5日から始まった上場会社の株券電子化を取り上げた記事。
「上場企業の株券は5日から、法的にはただの紙切れになる。株式の電子データは証券会社などを通して、証券保管振替機構(通称・ほふり)が管理。株主は証券会社や信託銀行に開かれる口座で、権利を確認するようになる。」
監査手続上、上場株式については、今後、株券の実査という手続は完全になくなることになります。監査対象会社が口座を開いている証券会社への残高確認で手続きが済むことになるのでしょう。また、担保に提供している株式は担保提供先に確認するのでしょう。
「一方で、トラブルへの懸念は消えない。ほふりに預託されていない株式(全体の約5%)のデータは、上場企業が信託銀行などに開く「特別口座」で管理される。株を売却する際には証券会社に口座を開く必要があるが、手続きができるのは今月26日以降で、それまでは売却できない。
電子化までに株を本人名義に書き換えていない場合、他人名義のまま特別口座にデータが登録され、知らないうちに売却されるおそれもある。無効になった株券を悪用して金銭をだまし取る詐欺行為がでてくる心配もある。」
監査の対象になるような会社が保有している株式を預託せず放置しているということはまずないと思いますが、もしそうしたケースに遭遇したら、相当慎重に調べる必要がありそうです。
「今後の株式の売買はすべて証券会社を通す必要がある。大和総研制度調査部の横山淳・統括次長は「システムのトラブルは取引全体に影響する可能性があり、メンテナンスの徹底が欠かせない」と指摘する。」
証券会社はほふりとの間で定期的に照合を行ってチェックするのだと思いますが、日々膨大な件数の取引が行われるわけですから、一旦システムがダウンするとたいへんなことになります。この点について日本証券業協会のQ&Aでは以下のように答えています。
「〈ほふり〉では、システム障害や大規模地震或いはテロ等の原因等に備え次のような仕組みを設けています。これは、現在でも電子化後でも同様です。
・バックアップセンターを設けて、バックアップデータを管理しています。
・〈ほふり〉で管理されている株式に係るデータは、〈ほふり〉に口座開設している証券会社等の口座データを集約させたものです。証券会社等と〈ほふり〉の間ではお互いに残高の相違
が発生していないか日々確認するので、お客様資産の管理はさらに万全のものとなります。」
ほふりのプレスリリース(PDFファイル)
株券電子化について(金融庁のサイトより)
株券電子化よくあるQ&A(PDFファイル)(日本証券業協会のサイトより)
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