会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業結合会計基準ほかの改正を公表

【企業会計基準】

企業会計基準委員会は、企業結合会計基準ほかの改正を2008年12月26日付で公表しました。2008年6月30日に公開草案を公表し、コメント等を検討したうえで、確定基準として公表したものです。

改正されたのは、以下の基準・適用指針です。企業会計審議会から移管されるものもあります。

・「企業結合に関する会計基準」(新設)(現行の企業会計審議会意見書を移管)
・「連結財務諸表に関する会計基準」(新設)(連結財務諸表原則を移管)
・「研究開発費等に係る会計基準」(一部改正)(現行基準は企業会計審議会の意見書として残る。)
・「事業分離等に関する会計基準」
・「持分法に関する会計基準」
・「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」

具体的な改正内容は以下のとおりです(本会計基準等の概要より)。

1.持分プーリング法の廃止

「会計基準のコンバージェンスを推進する観点から持分プーリング法を廃止することとし、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理するものとした。」

「取得企業の決定方法についても併せて改正」

2.株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日

「企業結合日(又は事業分離日)における時価を基礎として算定」

3.負ののれんの会計処理

「まず、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す」

「負ののれんが生じた事業年度の利益として処理」

4.少数株主持分の測定

「全面時価評価法により評価」

(少数株主持分自体を時価評価する(したがって少数株主持分にものれんを認識する)わけではありません。)

5.段階取得における会計処理

「被取得企業の取得原価は、個別財務諸表では従来どおり支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定するが、連結財務諸表では支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定する」

(議論があったようですが、個別財務諸表では従来どおりの処理です。)

「支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、連結財務諸表上、当期の段階取得に係る損益として処理」

6.在外子会社株式の取得により生じたのれんの会計処理

「外国通貨で把握し、決算日の為替相場により換算」

(その国の通貨で回収すべきものですから、カレントレートで毎期換算するのが自然でしょう。)

7.企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果の会計処理等

「企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果について、従来、取得対価の一部を研究開発費等に配分した場合には当該金額を配分時に費用処理することとされていたが、本会計基準等では、当該会計処理を廃止」

「被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、・・・原則として識別して資産計上」

(費用処理は認めないとしてもその金額をのれんに含めるのか開発費として別途認識するのかという問題は残ります。「識別可能な無形資産」と考えると識別して計上するのだと思いますが・・・。)

8.その他(全部で7項目あります。)

「連結損益計算書における純損益計算の区分の中に、新たに少数株主損益調整前当期純利益を表示」

2010年(平成22 年)4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用ですが、1年早期適用もできます(年度で判断するのではない)。

持分プーリング法の廃止も理論面では重要ですが、それに加えて、連結会計が大きく変わることが注目されます。さまざまな連結実務の解説書は全面的に書き直されることでしょう。

なお、ASBJが発表したプレスリリースによると、この改正によりコンバージェンスの短期目標項目は達成したことになるそうです。

東京合意に掲げた短期コンバージェンス項目の終了にあたって
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