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国際会計事務所PwC、中国業務「6カ月停止」の深刻 恒大集団の会計監査めぐり中国当局が行政処分(東洋経済より)

国際会計事務所PwC、中国業務「6カ月停止」の深刻 恒大集団の会計監査めぐり中国当局が行政処分

中国のPwCが、恒大集団に対する会計監査を巡って、きびしい処分を受けたこと(→当サイトの関連記事)を取り上げた記事。

「中国財政省と中国証券監督管理委員会(証管会)は9月13日、PwCの中国国内の主要部門である普華永道中天会計事務所(PwC中天)への行政処分をそれぞれ発表。罰金および(恒大集団に関連する)違法所得没収の総額は4億4100万元(約88億円)に上った。

さらに、PwCの中国業務に大きな影響を及ぼす「資格処分」に関しては、中国国内の監査部門を対象に6カ月間の業務停止および広州事務所の閉鎖を命じた。」

「事務所の閉鎖」というのは、文字通りの内容だとすると、あまり聞かない重い処分です。

どのような監査不備が指摘されたのか...

「そんな中、PwCが2018年から2020年にかけて実施した恒大地産の会計監査について、財政省は「計画と実施の両面に重大な瑕疵があり、多くのプロセスで誤った結論に導いた」と厳しく批判した。

一方、証管会は恒大地産の会計監査のプロセスについて、PwCがとった対応の多くが有効に機能していなかったと指摘した。

具体的には、不動産開発プロジェクトの現地視察に基づく監査記録の9割近くが、実際の状況と合致していなかった。記録上は(建設工事が完了して)引き渡しの条件が整っているとされた物件の大部分が実際には竣工しておらず恒大地産側が「見せるな」と指示した物件は現地視察の候補から外されていたという。」

現場視察したといっても、実態を見ていなかった、そもそも、視察する現場の選定がクライアントの言いなりだったということでしょうか。このあたりは、日本の監査実務にも教訓になりそうです。

中国のPwCのこの件に関するプレスリリースがありました。

Statement from PwC China and PricewaterhouseCoopers Zhong Tian LLP(PwC)

Hengda というのは、中国恒大集団の主要子会社です。

The Ministry of Finance of the People's Republic of China and the China Securities Regulatory Commission (collectively referred to as "regulators") have today published the administrative penalties related to the audits by PricewaterhouseCoopers Zhong Tian LLP ("we" or "PwC Zhong Tian") of our former client Hengda Real Estate Group Company Limited ("Hengda"). PwC Zhong Tian LLP is a member firm of the PwC network representing PwC China's audit business in the Chinese mainland.

監査不備があったことも認めています。

PwC Zhong Tian accepts that the audit work on Hengda fell below our own high standards and the standards our stakeholders rightly expect of us. We are determined to address the shortcomings and strengthen how we operate going forward.

中国PwCは、高品質監査を実施してきた長い歴史があり、ごく少数の監査チームメンバーによる今回の行為は、中国PwCの18,000人のプロフェッショナルの大多数の仕事ぶりを代表するものではないと信じていると、言い訳しています。

PwC China has a long history of high quality audits and we do not believe that the behaviour of a very small number of engagement team members is representative of the work of the vast majority of PwC China's 18,000 professionals. In addition, PwC Zhong Tian is implementing a remediation plan that will enhance and further improve its quality management system. This will involve additional investment in people, training and technology, and a reinforced focus on culture and governance to ensure our commitment to quality is reflected in everything we do.

日本のPwCのウェブサイトでは、この問題について、何もふれていないようです(見落としているかもしれませんが)。

Japan Business Network (JBN) - 中国(PwC)

「PwC中国は、1902年に香港特別行政区(以下、香港)に事務所を開設して以来、約120年の歴史があります。北京、天津、大連、青島、瀋陽、済南、鄭州、上海、蘇州、無錫、南京、杭州、寧波、合肥、武漢、重慶、西安、長沙、成都、貴陽、昆明、厦門、広州、深圳、珠海、海口、マカオ特別行政区(以下、マカオ)および香港に拠点を有し、20,000名以上のスタッフが勤務する中国最大級の国際会計事務所です。」

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