トヨタ自動車がメキシコに新設する工場からの米国への輸入について、トランブがかけるといっている border tax は、関税ではなく、「仕向地法人税」という別の税金だという解説記事。
付加価値税(消費税)を導入している国(欧州や日本)では、輸出時に輸出国でかかった付加価値税を還付(輸出免税)し、輸入時に輸入国の付加価値税を課税するという仕組みになっていますが、付加価値税を導入していない米国でも、同様の仕組みで課税して、米国企業の競争力を上げようという考え方があるのだそうです。
「トランプが、あるいはこれまで米国共和党が問題にしてきたのは、「トヨタやベンツが米国に輸出する際には、輸出国で消費税(VAT)相当分が還付される」ということである。そして、「米国にはVATがないので、このような国境調整ができず、その分、米国企業の競争条件が不利になっている」ということである。
この点については、拙著『税で日本はよみがえる」(日本経済新聞出版)の305ページ以降に詳細に記述してあるので、参照されたい。
以上を要約すると、以下のようになる。
第1に、わが国や欧州は、消費税(VAT)という、国境調整ができる税制(“border tax”)を持っているので、輸出時には税が還付され、外国から輸入される際には課税できる。
第2に、米国には、消費税(VAT)のような国境調整ができる税制がないことが、米国の国際競争力を低下させる原因となっているので、それを導入すべきだ。そうすれば、トヨタやベンツが米国に自動車を輸入する際には課税でき、米国車が輸出する際には還付できる。
第3に、いまさら消費税(VAT)を導入することは困難なので、法人税の中身を消費課税・仕向地課税にして対応すべきだ。
というのがトランプ政権の考え方である。」
税で日本はよみがえる ―成長力を高める改革 森信 茂樹 by G-Tools |