役員報酬月2億5千万円は「合理的ではない」 関西の味噌会社が国に敗訴…東京地裁
「京醍醐味噌」という京都の会社が、役員報酬をめぐり、約3億8500万円の課税処分の取り消しを求めた裁判の判決があり、会社側が敗訴したという記事。
同社は、明石市の「松井味噌」という会社のグループ企業とのことです。松井味噌は1990年代から中国に進出し成功、年商約80億円まで成長し、ベトナムへの進出も企てました。
「松井さん(「松井味噌」社長)はベトナム事業の成功を確信し、弟を専念させるため月2億5000万円の役員報酬を提示した。実際、2015年12月から4カ月で10億円を払った。松井さん自身も2015年10月からの1年間、月5000万円、年間6億円の役員報酬を得た。
国税当局は2018年、京醍醐味噌の税務調査を実施した。その結果、2013年〜2016年の4年間、松井さんと弟に支払われた役員報酬21億5100万円のうち、約18億3956万円分を「不相当に高額」と指摘した。
法人税法は34条2項で、役員給与(退職金含む)のうち「不相当に高額な部分の金額」は損金に認めないとしている。当局からすると、「役員報酬=損金」が大幅に増えた結果、法人税が激しく減ることを避ける狙いがある。
松井さんらは裁判で、京醍醐味噌は国が課税処分に際して分類した卸売業でなくファブレス事業に該当すると主張。ベトナム事業を有望と判断し、高額な役員報酬を払ったことも妥当とし、国側と全面的に争った。」
判決理由の一部。
「ベトナム事業については「収益は生じていない」ことを重要視。弟の「赴任が具体化せず、ベトナム新規事業再開のめどが立っていない状況において月2億5000万円もの給与の支給を(中略)続けるということは、企業の意思決定としておよそ合理的なものとはいい難い」とした。」
会社側の弁護士は、「役員給与の費用は、支払い必要性から合理性が根拠付けられるもの。その必要性は株主が決定するもので、税務署は判定する権限も能力もない」などと主張しているそうですが、役員に対する株主の監督が効いているような会社ならともかく、同族企業で、お手盛りやり放題の状況では、無理な主張でしょう。