「国税庁の説明は理解できない」、信託型ストックオプション考案者が反論(要無料登録)
いろいろと問題を引き起こした「信託型ストックオプション」の考案者だという弁護士にインタビューした記事。
信託に、オーナーが拠出する場合と企業が拠出する場合とでは違うという認識のようです。オーナー拠出の場合は、国税庁の従来のスタンスも譲渡所得課税だったと主張しています。
「ストックオプションとは、事前に決められた価格で自社の株式を買える権利のことです。株価が上がったときに、この権利を使って、高値で株式を売ることで利益が得られるというものです。
私が考えた仕組みは単純で、オーナー社長が、信託という袋に対して拠出したお金で会社から時価でストックオプションを購入して、頑張った人に信託を通じて事後的に渡すというもので、これが信託型ストックオプションです。」
「私は、これまでの国税庁のスタンスは、オーナーが拠出する信託型ストックオプションについては、譲渡課税だったと認識しています。」
「例えば銀行の中には、オーナーが拠出する信託型ストックオプションを導入すれば、役員や社員が手にした利益は、譲渡課税になりますと提案書に記して、ベンチャー企業等に営業していたケースもあると聞いています。
さらに、別の銀行が、オーナーではなく企業が拠出する信託型ストックオプションの課税について国税庁に問い合わせた際に、企業が拠出すれば給与だが、オーナーであれば企業とオーナーが一体であると事実上みなせる場合でなければ給与として課税はしないなどと回答したという話も聞いています。
今回、国税庁は5月30日に「企業が拠出してもオーナーが拠出しても給与」との一律判断を行うと公表して、過去に導入したオーナーが拠出した信託型ストックオプションについても一律、給与だとのスタンスを示しましたが、元々、企業が拠出するものとオーナーが拠出するもので異なるスタンスを示していたはずです。」
「先に申したとおり、2016年当時の回答では、会社負担でストックオプションを購入するものと、オーナー負担でストックオプションを購入するものについては、別物として扱われていました。ですから「いつ、誰に、どのような理由で」オーナー負担のものも給与だと言い続けていたのかをご説明いただきたいところです。」
この問題はきちんとフォローしているわけではないので、感想でしかありませんが、形式上、だれから与えられた財産だろうが、それが、会社での労務提供の対価として受け取ったものであれば、給与所得しかないのではないでしょうか。
また、だれに、どれだけのストックオプションを与えるのかは、会社が決定する仕組みのようですから、それは、信託からストックオプションが会社に贈与され、その贈与されたストックオプションを役員・従業員に与えたと考えることもできます。
そうではなく、信託への拠出者だからといって、ストックオプションをオーナーの裁量で与えていたとすれば、それは、役員・従業員の重要なインセンティブを、会社の外部の者の裁量で与えていたということになり、会社のガバナンスとして、異常な事態でしょう。そんな会社は上場させてはいけません。
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