日産自動車前会長ゴーン氏が、日産自と三菱自動車がオランダに設立した統括会社「日産三菱BV(NMBV)」と雇用契約および報酬を巡り争っていた裁判で、アムステルダムの裁判所が報酬500万ユーロ(610万ドル)を返還するようゴーン氏に命じたという記事。
「裁判所は、ゴーン被告とNMBVとの雇用契約が日産自と三菱自の取締役会による承認を得ておらず有効ではないと判断。2018年4─11月にNMBVから受け取った報酬の手取り額500万ユーロの返還を求めた。またゴーン被告がNMBVで自身の報酬などを不当に決定していたとした。
ゴーン被告は自身が解雇された際にオランダの労働法違反があったと主張。未払い賃金および退職金として1500万ユーロの賠償を求めていた。」
判決は、2018年4月以降の日産三菱BVとゴーン氏との間の雇用契約は、株主である日産と三菱自の取締役会が承認していないから、有効ではない、したがって、その時期の分の報酬は違法に受け取ったものだから返還しなさいということなのでしょう。
これはよく理解できる理屈です。この理屈を、今日本で問題となっている役員報酬虚偽記載事件にあてはめてみると、ゴーン氏の90億円超の追加報酬(名目上は退任後の顧問報酬)は、日産自動車の株主総会や取締役会の承認を経たものではない、したがって、そのような追加報酬支払いの契約(そのもとになっている顧問契約も)は有効ではなく、もしゴーン氏がその一部でも受け取っていたら、違法なものだから返還しなければならないし、今後も承認されるまでは支払ってはならないということになります。支払ってはならない(ゴーン氏も受け取る権利がない)ものなのですから、当然、役員報酬の開示対象ではないでしょう。
ゴーン被告に報酬返還命令、日産三菱BVへ6.6億円-オランダ裁判所(ブルームバーグ)
「20日公表された判決文によると、ゴーン被告とNMBVの間には雇用契約がなかったため、同社から報酬や未払い賃金の遅延損害金などを受け取る権利がないと裁判所は判断。被告は2012年7月から日産のオランダ子会社の取締役を務めていたが雇用契約は18年4月1日で終了しており、同年4-11月にNMBVから受け取った報酬の手取り額は返還されるべきだと結論づけた。」
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きんちゃん
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