東京都が「若年被害女性等支援事業」を委託していた団体の不正会計問題について、不正はなかったという解説記事。
「住民監査請求が通り監査が行われたが、昨年12月に出た監査結果では、監査委員の見解はColabo 側の説明をほぼ認めるもので、公金を不当に横領しているという暇空氏の主張は一蹴されている。ただ監査の過程でいくつかの経理上の問題が指摘され、委託費の再調査が行われることになった。2月末に終わった再調査では、会計ミスや見解の違いによりColaboの経費は192万円が認められなかったものの、そもそもColaboは約300万円を自主財源から持ち出しでこの事業に充てているので、返金などの措置は必要がないと判断された。
一方、監査委員によって新たに指摘された幾つかの問題は、書類のミスや見解の違いを問うものであった。たとえば人件費の按分の問題や、年数回の高額の食費、名前や住所をマスキングされた領収書などがある。このうち高額の食費については、一部報道での一人8000円という金額がクローズアップされているが、それは一年間で一度あっただけであり、保護された少女に対する誕生会のために使われたものであった。」
「Colaboで保護している少女たちは、DVやネグレクトで誕生日など全く祝われたことがない場合もある。せめて誕生日にはこうした盛大な祝い事をすることで、極めて危険な水準まで低下してしまっている本人の自己肯定感を高めることも事業には必要だ──Colaboの主張は認められ、経費として認められた。一方、領収書のマスキングについては、DVなどで逃げた少女を保護している性質上、個人情報を保護しなければならないというColabo側の主張は監査委員によって理解を示されたものの、経費としては認められなかった。」
「経費として認められなかった192万円についても、そもそもColaboは委託費2600万円を使い切り、なお持ち出しで300万円を支出している事実が確認されたのだから、委託費を不正に着服せしめたような印象を与える見出しは不適切だろう。」
都として必要な事業を、民間団体にやってもらうことで安上がりにできる(このケースでは団体から持ち出しになっている)のなら、経理をきちんとやってほしいとは思うものの、問題はないように思われます。
事業の必要性は確かめないといけませんが、報道を見る限りでは、必要な事業のように思われます。
東京都が公表した、監査委員の勧告に基づき講じた措置(2023年2月)
↓
https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf
https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi2.pdf(費目ごとに精査した結果が示されています。)
「上記1の(1)から(13)のとおり、管理台帳の誤記が6件370,022円、領収書の宛名が個人名であるものが4件46,341円、領収書があるものの支援内容の説明が不十分であったものが2件191,653円、按分がされていなかったものが2件1,001,958円、自主事業にかかる経費で当該委託事業の経費として適切ではないものが3件63,948円あった。また、領収書の一部提示を拒否したため支出の証拠書類としては不十分なものが72件252,163円あった。これらの経費の合計1,926,085円については、事業経費とは認められないため、対象経費から除外する。
その結果、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額は、27,131千円と特定した。このうち、委託料の上限額の範囲内である26,000千円を委託料として確定した。
なお、今回の調査過程において、都職員が団体を訪問し、本事業に係る支出の根拠となる領収書原本の提示を求めた際、団体側から領収書の一部の提示がなされなかったことは、仕様書の規定に反しており、団体に対し改善を指示するものとする。 」
委託料26百万円に対して、経費の実績が27,131千円とのことなので、団体からの持ち出し額は(3百万円ではなく)1,131千円ということで、団体としては、この事業でもうかったわけではなく、赤字だったということになります。
なお、26百万円支払ってやるべき事業かどうかは、東京都の判断であり、委託された団体を追及するような話ではないでしょう。
(談合が摘発された東京五輪の経費(東京都も支出している)も、このくらいの精度でチェックし直したら、いろいろ出てくるのでは)