会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

インボイス発行なしでもフリーランスと取引 7社・団体(日経より)

インボイス発行なしでもフリーランスと取引 7社・団体(記事冒頭のみ)

7つの会社や団体が、インボイスを発行しないフリーランスとの取引を継続することを表明したという記事。

「消費税の税率と税額を記した請求書をやりとりするインボイス制度の10月からの導入を控え、人材サービスのWaris(東京・千代田)やマイナビなど7社・団体は17日、インボイスを発行しないフリーランスと取引を続けると表明した。インボイスがないと税負担が増すが、事業に欠かせないフリーランスとの協業を優先する。」

「フリーランスが消費税の課税事業者に転換し、インボイスを発行できるようになる場合は2%以上の報酬の引き上げを促す。」

そもそも、消費税だけが、取引価格やその他の取引条件を決める要因ではないのだから、インボイスを発行しないからといって、排除するのは、仕入れ側の企業にとっても不合理でしょう。事務処理は面倒になりますが。

呼びかけ人となっている団体のプレスリリース。

【プレスリリース】「インボイス2%~アクション」を開始~フリーランスの報酬適正化に向けた啓発運動への参加を広く呼びかけ~(プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)

「本キャンペーンでは、趣旨に賛同するフリーランスやフリーランスと取引する事業者が、例えば下記のようなアクションを行うことを応援します。

<フリーランスのアクション例>
・取引先に対し、報酬適正化に向けた価格交渉に挑戦する

・取引先に対し、免税事業者のままでの取引継続を交渉する

<フリーランスとの取引を行う企業、または取引仲介を行う仲介事業者のアクション例>
・免税事業者のフリーランスも報酬据え置きで取引継続する

・新たに課税事業者に転換するフリーランスの報酬を値上げする(少なくとも2%以上)

・ステークホルダーに対し、インボイス制度によるフリーランスへの影響について配慮を促す  など」

背景として4つの事項を挙げていますが、そのうちのひとつ。

「①免税事業者と発注企業との間に、値付けに関する認識齟齬があること

免税事業者は事業を営み、生活をしていく上で、「消費税納付の必要がない前提で」その仕事を引き受けるか否かの判断や値付けをしている人が多く、消費税分を”益税”と考える税理士や発注企業側の認識と大きな相違があります。税務リテラシーもさまざまであるため、中には自分は免税事業者だから”消費税をもらっていない”認識で値付けしてきた免税事業者も存在します。」

財務省や税理士的観点では、益税なのでしょうが、消費税が免税になっている分、取引価格が引き下げられているとみることもできるわけで、納めもしない消費税を懐に入れているといって免税業者を非難するのは短絡的でしょう。そのほか、免税業者は、仕入れに含まれている消費税を控除できず、自分で負担しているということも考慮しないといけません。インボイス制度でいわゆる「益税」をなくした場合に、それによるコスト増を、免税業者だけに負担させるのか、仕入れ側(そこからさらに転嫁されて最終消費者まで)も負担するのかという問題なのでしょう。

「④インボイス制度による負担増(売上の2~5%)によって生活が立ちいかなくなるほどの低報酬が一部業界でまかり通っていること」も背景としてあげています。

そういう実態もあるのでしょう。それは、税制度が対処すべき問題ではないと冷たく突き放すことができるのかどうか...。

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