会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

インボイス制度の衝撃 不動産運用など副業も対応必要 サバイバル経営Q&A座談会(上) 税理士が見たビジネス現場の課題(日経BizGateより)

インボイス制度の衝撃 不動産運用など副業も対応必要 サバイバル経営Q&A座談会(上) 税理士が見たビジネス現場の課題

著名税理士や大手税理士法人理事長らによる、インボイス制度実務対応に関する座談会形式の記事。

いくつか引用させてもらうと...

「ビジネスに携わっていれば、どんな人も所得税の申告はする。でも、消費税は違う。これまで申告を免除されてきた個人事業者が500万人いるとも言われている。その方々が対応するとなると、相当のボリュームで相談案件が出てくる可能性がある。ところが、現実には企業や個人の多くは相談先さえわからず、困っているのではないでしょうか。」

「今対応が課題になるのは、税理士と関わりがなく消費税の申告を1回もしたことのないような方々でしょう。」

「先日、運送会社の社長と話したときも免税事業者との向き合い方が難題と実感しました。通販やウーバーイーツとかいろいろな配送サービスがありますが、運送会社は受けた注文を個人のトラック運転手らに外注することが多いのです。個人事業者にインボイスへの対応を聞き取り、免税事業者のままでいくと言われたら、仕入税額を控除できなくなるから消費税分安く仕事を受けてほしい。でも、そもそもギリギリまで安くしているので、困ったなあと。」

「住宅用のアパートは消費税非課税ですが、テナントからの賃料はインボイスが必要になる。インボイスの発行登録をして、賃貸借契約書も書き換えるなどの対処をしなくてはならない。副業として不動産運用をしている人を含め、相当多くの人が対象になると思いますが、制度や課税対象を理解している人が少ない。」

「日本は中曽根内閣が導入しようとした売上税がインボイス方式でしたが、国民の反発で失敗してしまった。だから次の竹下内閣は消費税を実現するために、インボイスをやめるなどなりふり構わず譲歩してしまった。負の遺産を抱えている以上、どこかで理屈に合った方式に変えないといけない。ところが、個人の多くは消費税の知識がないし、申告の経験もない。インボイスを導入するなら、そういう人たちをどう救済するかを行政は考えないといけないし、我々税理士も無料相談などの形で手を差し伸べないといけないですよ。そうでなければ混乱が続くでしょう。」

「インボイス制度の導入では確か2500億円ぐらいの税収増が見込まれています。結果的に立場の弱い事業者に税収増のしわ寄せがいくと、淘汰が進む可能性があると思っています。」

「コロナで弱って後継者もいない、先々厳しいというところにインボイス制度で負担が追加されれば廃業を選ぶ企業や個人事業者が当然出てくる。」

インボイス反対というよりは、中立的な実務家の見方だと思いますが、結構厳しい現状認識のようです。

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