会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

軽減税率導入へ具体案(公明党)

軽減税率導入へ具体案

与党で検討している消費税軽減税率に関して、公明党のサイトにプレスリリースと資料が掲載されています。

「会合後の記者会見で斉藤税調会長は、対象品目や経理手法で訴えてきた公明案について「取り下げたわけではないが、いろいろなパターンのメリット、デメリットを示して意見をいただくのは、より良い制度を作り上げていく上で不可欠だ」と強調。軽減税率の導入時期については「(消費税率)10%への引き上げ時に導入したい」と力説した。」

詳しい資料。最終的にどうなるかはわかりませんが、事前に研究しておきたい方はどうぞ。

消費税の軽減税率に関する検討について(与党税制協議会)(PDFファイル)

だいたいは報じられているとおりの内容のようですが、「簡易課税とマージン課税について」という項目は、あまり報じられていないのではないでしょうか。

「複数税率制度の導入により、現行の簡易課税制度の業種区分を細分化し、それぞれにみなし仕入率を設定することとなるため、簡易課税を選択した事業者の経理事務が複雑になるという新たな問題が生ずる。また、区分経理について、資料5のC、D案を採用した場合には、中古品販売業者について特別な手当てが必要となる。これらについて、諸外国の例を参考に制度案と論点を示している。」

簡易課税は、「売上税額×みなし仕入率」で仕入税額控除の金額を計算する方法ですが、簡易課税が導入された場合に、この式で計算すると、軽減税率適用売上(たとえば魚)のための仕入れに標準税率のもの(たとえば魚をのせるトレイ)が含まれているとき、控除しきれない「損税」が生じる恐れがあります。それをさけるためには、仕入れを軽減税率適用のものと標準税率適用のものに分ければいいのですが、それができるくらいなら、簡易課税ではなく本来の方法でやればいいということになります。「簡易課税」といいながら、かなり複雑な制度になりそうです。

(軽減税率適用売上のための、標準税率適用仕入について、全額仕入税額控除を認めるべきなのかは別の論点としてあり得ると思います。)

「中古品販売業について特別な手当て」というのが「マージン課税」です。一般消費者からの中古品仕入れについて仕入税額控除できない制度にする場合(インボイスを導入するとそうなる)には、業者の売上に課税するのではなく、仕入れを控除したマージン部分に消費税を課税する仕組みにするようです。(しかし、その業者が中古品を転売した場合、転売先の業者はどの金額で仕入税額控除するのでしょうか。理屈からすると、マージン部分に課せられた税額のみということになるのでしょうが、そうすると、原価の金額が転売先にわかってしまうということになります。)

比較的低税率で、かつ、単一税率であることを前提とした現行の制度は、税率引き上げと軽減税率導入で、大きく見直されることになりそうです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事