まず、あらたの退任3件。1社は新日本への交代です。
1.大正製薬ホールディングス(東証1部)
公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あらた→新日本、の交代です。
監査継続年数が理由です。
「監査役会は、現会計監査人及びその前身である旧青山監査法人・旧中央青山監査法人の監査継続年数が長期に渡っていることを踏まえ、現会計監査人も含む複数の監査法人より提案を受け、その内容を検討いたしました。」
現監査人の就任年は2007 年ですが、青山監査法人の時期まで遡ると、かなり長くなるのでしょう。ただ、現監査人からの提案も受けたとのことですから、年数だけで契約解除したわけではないのでしょう。
2.ヴィア・ホールディングス(東証1部)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あらた→フロンティア監査法人、の交代です。
監査報酬改定がきっかけのようです。
「監査役会は、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について、他の監査法人と比較検討してまいりましたが、現会計監査人の監査報酬の改定に鑑み、その後任として新たにフロンティア監査法人を会計監査人して選任するものであります。」
3. ラ イ ト ア ッ プ(東証マザーズ)
公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あらた→監査法人ハイビスカス、の交代です。
監査報酬増額改定の提示がきっかけのようです。
「当社が業績向上を目的として経費削減を検討している中、同監査法人より 2022 年 3 月期より適用される内部統制監査等に伴う監査報酬の増額改定の提示があったため、同監査法人を含む複数の監査法人を対象として、独立性、専門性、品質管理体制及び監査報酬の水準等を総合的に比較検討いたしました。」
内部統制監査が追加される以上、報酬増額は仕方がないように思われますが...。
あずさの退任4件。
4.芦 森 工 業(東証1部)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あずさ→ひびき監査法人、の交代です。
継続年数や監査費用などを理由としています。
「現在の会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分にそなえているものの、当社との監査継続年数が長期にわたり、また、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について、他の監査法人と比較検討いたしました結果、上記3.の理由により、新たにひびき監査法人を会計監査人として選任するものであります。」
現監査人の就任年は、1974 年 (前身である監査法人の就任日)とのことです。
5.ロコガイド(東証マザーズ)
あずさ→誠栄監査法人、の交代です。
経営統合に伴う監査人統一を理由に挙げています。
「当社は株式会社くふうカンパニーと 2021 年 10 月 1 日(予定)に共同持株会社である株式会社くふうカンパニーを設立し、経営統合を行う予定です。株式会社くふうカンパニーは設立時の会計監査人として誠栄監査法人を選任する計画であり、監査等委員会は、会計監査人を統一することでグループにおける連結決算監査及びガバナンスの有効性、効率性等の向上が図られると判断したため、新たに会計監査人として誠栄監査法人を選任する議案の内容を決定したものであります。」
6.小倉クラッチ(ジャスダック)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あずさ→監査法人アヴァンティア、の交代です。
中国子会社の会計不正が契機となったようです。
「当社は、有限責任 あずさ監査法人を会計監査人として長期にわたって選任してまいりましたが、同監査法人による監査継続年数等に鑑み、また、海外子会社に起因する棚卸資産及び売上原価の訂正を契機に改めて会計監査人を検討することにいたしました。この結果、上記3.の理由により、その後任として新たに監査法人アヴァンティアを会計監査人として選任するものであります。」
あずさ監査法人からは、「中国の連結子会社である小倉離合機(東莞)有限公司及び小倉離合機(長興)有限公司の棚卸資産及び売上原価について」証拠未入手ということで、限定付適正意見の監査報告書及び限定付結論の四半期レビュー報告書が出ているとのことです。
現監査人の就任年は、1984 年です。
監査人を代えたくなるのはわかりますが、海外子会社での不正が問題となっているのであれば、強力な海外ネットワークを持っている大手の方が無難のようにも思われます。
もしかしたら、不正調査費用で8億円もかかったというのも関係しているのかもしれません。
7.山 喜(東証2部)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あずさ→太陽有限責任監査法人、の交代です。
監査報酬増額改定の見積提示がきっかけです。
「当社は、有限責任 あずさ監査法人より監査報酬について増額改定の見積提示を受けたことを契機として、同法人による監査期間が長期にわたることや、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性を考慮し、他の監査法人を対象に比較検討を実施してまいりました。」
現監査人の就任年は、1987 年です。
トーマツの退任2件。
8.精工技研(ジャスダック)
公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
トーマツ→アーク有限責任監査法人、の交代です。
監査継続年数などを理由にしています。
「当社の監査等委員会は、現会計監査人の監査継続年数が長期にわたっており、従来と異なる視点や手法による監査を通じて当社の財務情報の更なる信頼性の向上を図ること、及び当社の事業規模に適した監査対応や監査報酬等の総合的な観点から、複数の監査法人を比較検討してまいりました。」
9.旭 松 食 品(東証2部)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
トーマツ→太陽有限責任監査法人、の交代です。
監査費用などを理由としています。
「現任の会計監査人につきましては、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えておりますが、当社グループの事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性等について他の監査法人と比較検討してまいりました。 」
新日本の退任2件。
10.大 東 港 運(ジャスダック)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
新日本→清陽監査法人、の交代です。
監査報酬増額の申し入れがきっかけのようです。
「同監査法人の監査品質における問題点はないものの、当社との契約継続期間が 34 年と長きに亘ったこと、また、同監査法人からの監査報酬増額の申し入れを契機に、当社の事業規模に適した監査対応と監査報酬の観点から今回見直すこととし、清陽監査法人を会計監査人として選任するものであります。 」
11.免 疫 生 物 研 究 所(ジャスダック)
新日本→新宿監査法人、の交代です。
監査継続期間、監査対応、監査費用を理由に挙げています。
「当社は、EY 新日本有限責任監査法人を会計監査人として長期にわたって選任してまいりましたが、監査役会は、同法人による監査期間が長期にわたること、及び当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について検討してまいりました。」
現監査人の就任年は、2001 年です。
仰星監査法人の退任2件。
12.新日本建物(ジャスダック)
公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
仰星監査法人→RSM清和監査法人、の交代です。
よくあるパターンの理由です。
13.ぷらっとホーム(東証2部)
公認会計士等の異動に関するお知らせ
仰星監査法人→そうせい監査法人、の交代です。
監査報酬増額がきっかけです。
その他2件。元和の退任もあります。
14.協和エクシオ(東証1部)
公認会計士等の異動に関するお知らせ
清陽監査法人→太陽有限責任監査法人、の交代です。
前向きな交代理由です。
「当社では全国規模での監査活動の体制を整備することにより監査の効率化と監査品質の均一化を図るため、国内グループ会社の会計監査人を統一することを検討してまいりました。その結果、高い独立性、高度な専門性、適切な品質管理体制を前提に、当社が展開する事業分野を理解したうえでのグループ監査体制が確保され、また監査報酬の水準も妥当であること、さらにはグローバル監査体制も構築されていること等を総合的に勘案し、監査役会は太陽有限責任監査法人が当社の会計監査人として適任であると判断いたしました。」
15.ヤマノホールディングス(ジャスダック)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
監査法人元和→清陽監査法人、の交代です。
現監査人の監査体制を理由としています。
「当該会計監査人については、今後、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えることが難しい状況となったため、当社の事業規模及び監査費用の相当性を複数比較検討した結果、上記3の理由により、清陽監査法人を会計監査人として選任するものであります。 」
「今後」とは書いているものの、これでは、現在進行中の監査も体制不備でやっているととられかねないのでは。
また、元和側から反論はないのでしょうか。
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