会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝子会社で発覚、広がる「架空取引」の波紋 メガバンク系など5社以上が関わった疑い(東洋経済より)

東芝子会社で発覚、広がる「架空取引」の波紋
メガバンク系など5社以上が関わった疑い


大手上場会社数社を巻き込んでいる架空循環取引疑惑に関するやや詳しい記事。

「東芝の連結子会社、東芝ITサービスで発覚した架空取引が新たな展開を見せている。

鉄鋼国内最大手・日本製鉄の連結上場子会社である日鉄ソリューショズ、東証1部上場でIT大手のネットワンシステムズ、重電大手・富士電機の子会社である富士電機ITソリューション、さらに、みずほフィナンシャルグループのみずほリースの子会社であるみずほ東芝リースなど、少なくとも5社以上が関与する大規模な「循環取引」である疑いが強まっているのだ。」

東芝に注目が集まっているが、実は、ネットワンシステムズと日鉄ソリューションズが取引の中心ではないか(その中でもネットワン)とのことです。

「東芝の陰に隠れて目立たないが、カギを握っているのは東証1部に上場するネットワンシステムズと日鉄ソリューションズだ。両社は2019年12月13日に国税庁から「一部取引について納品の事実が確認できない取引がある」との指摘を受けた。現在、弁護士などから構成された特別調査委員会を設置し、調査を進めている。」

「複数の関係者の話をまとめると、シスコ代理店をしているネットワンがシスコの通信機器などを東芝ITサービスを通じて日鉄ソリューションズに売却する流れとなっている。日鉄ソリューションズはさらに同じ機器をネットワンに売却していく循環取引を繰り返すものだ。輪のようにつながった流れが複数存在しており、その中で富士電機ITソリューションとみずほ東芝リースも組み込まれていた。この5社以外の企業が関わっている可能性もある。

これは業界用語で「Uターン取引」や「まわし」と呼ばれ、実際の製品の移動は伴わない売買を会社間で回し続け、帳簿上の売上高が増え続ける構図だ。昔からよく使われる循環取引だが、いつかは決済できずに破綻する一方、短期的な売上確保には大きな効果があるため、「麻薬」ともされる。

今後の焦点はどの会社が主導したかだ。主導した会社以外は知らないうちに循環取引に組み込まれている可能性がある。実際に入金されていれば、経理部門も循環取引に気づかない場合が少なくないという。」

「今回の取引の特徴は、どのルートでもネットワンを起点に日鉄ソリューションズからさらにネットワンへという共通の流れがある。」

「関係者によると、東芝ITサービスの担当者はネットワンの担当者から「日鉄ソリューションズに機器販売をしたいが、間に入って欲しい」との話があったという趣旨の説明を調査委員会にしている。その際にネットワンの担当者からは「官公庁の秘匿案件のため、実際に機器を納入するのはネットワンが直接行う」との趣旨だったという。東芝ITの社内からは機器の購入先も納入先もネットワンになっている資料が見つかっており、ネットワンが価格や販売ルートをすべて調整していたのではないかとみられている。」

過去の事例は...

「大企業による循環取引も後を絶たない。IT大手のニイウスコーは2008年に過去5会計年度にわたる循環取引で売上高682億円の過大計上をしていたことを発表し、民事再生法適用を申請して事実上破綻。冷凍食品の加ト吉(現・テーブルマーク)は2007年に循環取引が発覚し、日本たばこ産業(JT)に救済された。」

25日の日経でも大きく取り上げていました。これも、ネットワン首謀者説のようです。

東芝系などの架空取引、15年から400億円
売上高水増し、主導役はネットワン
(日経)(記事冒頭のみ)

「東芝子会社の東芝ITサービス(川崎市)を巡る架空取引で、東証1部上場のシステム開発会社、ネットワンシステムズが主導的な役割を担っていたことがわかった。架空取引は遅くとも2015年に始まり、総額で400億円を超える。」

富士電機は、調査委員会を昨年12月にひそかに設けて調べていたそうです。

本日のマスコミ報道について(富士電機)(PDFファイル)

「当社は昨年 11 月、FSL の商取引に関して実在性に疑義のある取引(以下、「当該取引」)が複数年に亘り行われていた可能性があるとの情報を受け、親会社である当社が外部の専門家及び取引先の協力を得て社内調査を実施したところ、当該取引が一部存在するとの認識に至りました。

社内調査では、FSL 社員が当該取引が実体のない架空取引であったことを認識していたことを示す証拠は認められませんでしたが、客観性を高めるため、下記の通り外部の専門家のみから成る特別調査委員会を昨年 12 月に設置しました。」

みずほ東芝リースは、業績に影響が生じる可能性はないといっています。

本日のマスコミ報道に関して(みずほ東芝リース)(PDFファイル)

架空取引であることを認識していたかどうかにかかわらず、実態が架空であれば、訂正するのが筋でしょう。そもそも金融取引として会計処理していれば、あまり影響はないのかもしれませんが...。

当サイトの関連記事
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事