金融庁は、SBI証券に対し行政処分を行ったことを発表しました(2024年1月12日付)。
処分内容は、業務停止命令(新規株式公開(IPO)銘柄に関し、勧誘を伴う上場日における売買の受託業務を令和6年1月12日から令和6年1月18日まで停止)と業務改善命令です。
違法行為の内容は...
「取引所金融商品市場における上場金融商品の相場を変動等させることにより実勢を反映しない作為的なものとなることを知りながら、当該上場金融商品に係る買付けの受託等をする行為
当社執行役員兼機関投資家営業部長及びIFAビジネス部(当時)管掌執行役員らは、令和2年12月から同3年9月までの間において、その業務に関し、新規上場の際の株式公募に当たり当社が引受主幹事会社を務めた3銘柄の新規上場株式について、当該株式の初値を公募価格以上に変動させ、若しくはくぎ付けし、固定し、若しくは安定(以下「変動等」という。)させるために、エクイティ・キャピタル・マーケット部(当時)管掌常務取締役や執行役員と相談し、上場日当日の寄付前までに出て来ると予想される売付注文数に見合う買付注文数を目標として設定するなどした上で、当社の香港現地法人の社員(機関投資家営業部員が兼務)及びIFAビジネス部員等に対し、顧客に公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘し、各銘柄の上場日当日の寄付前までに当該買付注文を受託するよう、各銘柄の上場日の遅くとも二営業日前までにかけて指示又は依頼を行った。
これを受け、当該IFAビジネス部員は、当社を所属金融商品取引業者とする金融商品仲介業者に対して上記指示の内容を依頼し、上記指示又は依頼を受けた香港現地法人の社員及び金融商品仲介業者3社は、顧客に対し、公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘した。
これにより、当社は、顧客(機関投資家9社及び一般投資家174者)から、当該株式の相場を変動等させることにより実勢を反映しない作為的なものとなることを知りながら、各銘柄の上場日当日の寄付前までに公募価格を指値とした買付注文(3銘柄合計225万6600株)を直接又は当社の香港現地法人経由で受託・執行した。
上記行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第20号に違反するものと認められる。」
金融庁、SBI証に業務停止命令 勧誘伴うIPO株売買受託を1週間(ロイター)
「個人向けの株式や投資信託のネット取引は対象外となっている。また、業務停止とされた1週間の間にはIPOは予定されていない。
金融庁では、事案の重大性や悪質性を踏まえ、1週間の業務停止が妥当と判断したと説明している。」
金融庁による行政処分について(SBI 証券)
「このたびこのような処分を受けたことにより、お客さまをはじめ、関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを、あらためて深くお詫び申し上げます。弊社は、このたびの行政処分を厳粛に受け止め、今後、より一層の内部管理体制の強化・充実を図り、再発の防止ならびに皆さまの信頼回復に向けて、役職員一同全力で努めてまいる所存です。」