会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「調整後法人税」トップ20&ボトム20(東洋経済より)

「調整後法人税」トップ20&ボトム20
「会計上の税金額」首位はトヨタ、最下位はマツダ


上場企業の「調整後法人税額」をランキングにした記事。

「企業の法人税負担には、実際どれほどの差があるのか。売上高3000億円以上の上場企業を対象に、法人税額と、これを税引き前利益で除した税負担率を調べてみた。

調査にあたっては、単独決算の開示が減ったことから、連結ベースとした。ランキングに使用した「調整後法人税額」とは、直近の本決算に示された法人税額(法人税、住民税及び事業税)に、税効果会計による調整額(法人税等調整額)を加減したもの。

調整額を用いたのは、今回は法人税支払額の多寡よりも、法人税が税引き後の最終利益(純利益)に及ぼす影響をみたかったためだ。連結ベースでは、決算を米国・国際基準で発表する超大手企業を中心に、あらかじめ調整額を加減した調整後法人税額しか開示しない企業が多いことも、調整後法人税額を使用した理由の1つである。 」

トップはトヨタ自動車で、7678億円だったそうです。しかし、税引前と比較した負担率では、31.45%と比較的低い率となっています。

逆に税金費用が小さい企業のトップは、マツダだそうです(△360億円)。これには税効果会計が影響しています。

「多額の法人税を負担する企業がある一方で、会計上の法人税額が少ない企業もある。マイナスは、何も法人税が会社に返金されたという意味ではない。税金支払い額に相当する調整前法人税額(法人税、住民税、事業税)のプラスを、法人税等調整額のマイナス幅が上回ることで生じた現象だ。

・・・

繰延税金資産を積み増した分が、損益計算では法人税等調整額という費用として控除される。調整後法人税額の少ない10社を見ても、繰延税金資産の増加(積み増し)が調整額と調整後法人税額のマイナスにつながっていることがわかる。 」

マツダの場合、監査人による判断が大きく関係したようです。

「たとえば、最も調整後法人税額の少ないマツダ。2012年3月期は営業利益段階から赤字となった。翌期は黒字転換したとはいえ、営業利益539億円、純利益343億円と伸び悩んだため、監査法人は繰延税金資産を一部しか認めなかった

ところが、直近2014年3月期は営業利益で1821億円に達し、次期には2100億円に伸びるという会社予想も提示された。好調な業績持続が見込まれ、439億円の繰延税金資産の積み増しが監査法人から認められたことも、1356億円の過去最高益達成に大きく寄与するところとなった。」

繰延税金資産を積み増したり取り崩したりというのは、将来減算一時差異の金額自体が増減する場合と、回収可能性のところの判断が変わることによる場合があり、厳密には区別して考える必要があります。

このあたりは、有報の税効果の注記で、繰延税金資産の評価性引当額の金額や、法定税率と負担率の差異の説明が記載されているので、ある程度外部からも把握できます。

ところで、現在、ASBJで税効果会計基準(会計士協会の指針)の見直しを行っていますが、回収可能性の判断の部分はだいぶ変わるのでしょうか。
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