東証1部上場の光学薄膜装置メーカー「オプトラン」が、租税回避地の会社を使って約2億7千万円を会長の親族や同社幹部に還流させていたという記事。税務調査で発覚したそうです。
「同社や関係者によると、同社は租税回避地のマーシャル諸島共和国に登記された会社と取引契約を結び、2012~15年に販売手数料の名目で約2億7千万円を支出。だがこの会社は営業実態のないペーパー会社で、香港の金融機関の口座を使っていたため、その後の資金の流れが分からなくなっていた。
関東信越国税局は、香港の税務当局に租税条約に基づく情報交換を要請。口座の入出金の明細などが開示され、オプトランの会長の親族や同社幹部らの口座に資金が流れたことを把握したとみられる。
同社は税務調査に対し、売り上げの多くを占める中国での営業活動や受注工作に資金を使ったと説明したが、具体的な支払先は「領収書をもらっていない」「ビジネスに支障が出る」などとして明かさなかったという。」
税務上は使途秘匿金の扱いとしたそうです。
「同国税局は、マーシャル諸島のペーパー会社への支出は経費とは認められず、仮装隠蔽(いんぺい)を伴う所得隠しにあたると指摘。さらに支出額の40%を追徴する使途秘匿金課税の対象にした。ほかの経理ミスなども含め、追徴課税は17年12月期までの6年間に約3億円にのぼるとみられる。」
日産ゴーン事件では、実体のある(日産車の販売に関わっていた)中東の会社に不正な支出を行い、それがゴーン氏側に還元されたといって、逮捕・起訴がなされたわけですが、この記事のケースでは、支出先は全くのペーパーカンパニーなわけですから、不正疑惑度はより高いといえます。当局は調べないのでしょうか。税務だけの問題ではないはずです。
会社のプレスリリース。
本日の一部新聞報道について(オプトラン)(PDFファイル)
「前回税務調査では代理店の営業活動につき、税務で必要な活動内容を示すサポート書類につき、当局より不備を指摘されました。弊社は事後的な資料の提出やご説明に努力いたしましたが、結局、税務上の指摘を受けました。弊社としましては見解の相違がありますが、継続的な事業展開に注力したいと考え、やむを得ないと判断し、当局指摘に基づき 2018 年度で修正申告を行い、過年度法人税等納税を行いました。
なお、営業費用支出に関しては、私的な流用は一切なく、必要に基づき支出を行っております。」
私的流用は否定していますが、こういうときこそ、独立した社外役員が調査委員会を組織して、徹底的に調べるべきでしょう。税務調査で問題点は絞られているのですから、調査費用もそれほどかからないのでは。
また、会計監査人もきちんと対応したのでしょうか。
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事