会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業不正、再び増加  内部通報が機能不全 大手コンサル調査 コロナ禍前と同水準に(日経より)

企業不正、再び増加  内部通報が機能不全 大手コンサル調査 コロナ禍前と同水準に(記事冒頭のみ)

企業の不正・不祥事が増えているという記事。

主に最近公表されたKPMGの「日本企業の不正に関する実態調査」とデロイトの「企業の不正リスク調査白書」をもとにしています。(どちらも全文閲覧するには会員登録が必要で、かつ、競合他社(会計士も?)は登録不可となっています。)

新型コロナウイルス禍の影響で減っていた企業の不正や不祥事が、再び増加傾向に転じたことが大手コンサルティング2社のそれぞれの調査で明らかになった。在宅勤務の減少で発覚する機会が増えた。内部通報制度が機能せず、重大な不正を早期発見できない課題も浮かぶ。海外拠点がサイバー防衛の弱点になっていることもわかった。」

・不正や不祥事の発生割合はコロナ禍前の水準に戻った。「在宅勤務の増加などで不正が発覚しにくい状況が続いていたが、オフィス回帰で監視機能が高まり不正も顕在化したのだろう」(KPMGコメント)

・ある上場企業では、コロナ禍で簡略化していた棚卸作業を以前の方法に戻したところ、在庫の持ち出しや水増しが明らかになった。

・KPMG調査によると、不正発覚経路は、内部からの通報が最多(58%で22年より10ポイント増加)。22年6月施行の改正公益通報者保護法が後押し。しかし、相談・通報のうち73%がハラスメント関連。重大な不正のあぶり出しには必ずしも結びついていない。

・30年以上続いたダイハツの認証試験不正では、社内への通報は確認されなかった。同社では、内部通報に寄せられた相談の6割程度は事案が発生している部署に調査を依頼していた。

・デロイトの調査によると、内部通報制度の課題として、「積極的な通報を促すための仕組み」、「周知」、「通報後対応を専門とする部署や人材の不足」などの回答が多かった。

・海外拠点のサイバー防衛の脆弱性も明らかになった。

・実例として、京セラ米国子会社(23年4月)、ベルシステム24ホールディングスのベトナム子会社、ヤマトホールディングスのシンガポール子会社などを挙げている。デロイトコメント「子会社に対策を任せている企業が多いのが実態」、「子会社の緩いセキュリティに入り込み、国内の本社にも攻撃を仕掛けるケースが発生」

・取引先など第三者(サードパーティ)のリスク管理まで手が届いていない。デロイト調査では、サプライチェーンでのコンプライアンスリスク管理未着手が32%。最近は、取引先の人権侵害行為への関心も高まっている。EU指令の発効など。

といった内容です。

記事中のコメントにあるように、新型コロナウイルス禍の影響で不正が減っていたわけではなく、発覚しづらくなっていただけなのでしょう。

監査法人にも、クライアントから、リモートではなく、もっと現場を見てくれという要求が出てくるのでは。

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