4月1日から施行される公認会計士法改正を取り上げた記事。不正通報義務化、独立性強化、課徴金制度などについてふれています。
細かいことをいうと、不正通報は公認会計士法で規定されているわけではなく、金融商品取引法上のルールです。したがって、金融商品取引法に基づく監査にのみ適用です。
このルールの対象は、「法令に違反する事実その他の財務計算に関する書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実」です。財務に関係する事項であることはわかりますが、「財務計算に関する書類の適正性」そのものではなく、「財務計算に関する書類の適正性の確保」に影響を及ぼす「おそれ」がある事実ですので、監査の対象である財務諸表・連結財務諸表の虚偽記載だけではないのでしょう。企業の活動は最終的には財務報告に反映されるので、企業の活動すべてが対象であると解釈できなくはありません。
金融庁担当官の解説(会計・監査ジャーナル3月号)では、「監査人が被監査会社の規模・特性やその財務書類の内容などを総合的に勘案の上、職業的専門家として当然に求められるその専門的知識・技能・経験に照らして判断する必要がある」といっていますが、監査対象である財務諸表の虚偽表示を判断する職業的専門家としての責任は当然としても、それ以外の事項について判断してよいのかは疑問です(会計士は法律専門家ではありません)。
もっとも、担当官の解説では「当局が情報収集を行うことを主眼としたものではない」といっており、通報までいくケースが多数発生することは想定していないようですが・・・。
金融商品取引法より
(法令違反等事実発見への対応)
第百九十三条の三 公認会計士又は監査法人が、前条第一項の監査証明を行うに当たつて、特定発行者における法令に違反する事実その他の財務計算に関する書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実(次項第一号において「法令違反等事実」という。)を発見したときは、当該事実の内容及び当該事実に係る法令違反の是正その他の適切な措置をとるべき旨を、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、当該特定発行者に書面で通知しなければならない。
2 前項の規定による通知を行つた公認会計士又は監査法人は、当該通知を行つた日から政令で定める期間が経過した日後なお次に掲げる事項のすべてがあると認める場合において、第一号に規定する重大な影響を防止するために必要があると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該事項に関する意見を内閣総理大臣に申し出なければならない。この場合において、当該公認会計士又は監査法人は、あらかじめ、内閣総理大臣に申出をする旨を当該特定発行者に書面で通知しなければならない。
一 法令違反等事実が、特定発行者の財務計算に関する書類の適正性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがあること。
二 前項の規定による通知を受けた特定発行者が、同項に規定する適切な措置をとらないこと。
3 前項の規定による申出を行つた公認会計士又は監査法人は、当該特定発行者に対して当該申出を行つた旨及びその内容を書面で通知しなければならない。
公認会計士法:1日、改正法施行 課徴金制度を導入
最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事