米国基準を採用していたトヨタ自動車が2021年3月期から国際会計基準(IFRS)へ移行するなど、日本の多国籍企業の会計基準がIFRSに統一されつつあるという記事。
「上場企業のIFRS採用企業は時価総額ベースで合計256兆円となり占有率は40%を超えた。5年前に比べて2倍だ。時価総額トップ10社を見ると、ソフトバンクグループやファーストリテイリングなど8社がIFRSを採用している。
IFRSの採用が進む大きな理由の1つは、世界的な基準統一化の流れだ。欧州やアジアではIFRSが既に採用されている。迅速な経営判断や投資家への開示が求められるなか、日本の本社も海外子会社と基準を合わせて財務情報を素早く把握することができる。
トヨタは「資本市場での財務情報の国際的な比較可能性の向上などが目的」として今期にIFRSへの移行を決めた。」
米国基準が嫌われている面もあるそうです。
「会計基準は17年12月以降に始まる会計年度から、持ち合い株の評価損益をPLに反映させることを義務付けるルールに変更した。トヨタ自動車は19年3月期に約3400億円の損失を計上した。
IFRSでは、持ち合い株の価格変動はPLに影響せず、貸借対照表(BS)のみに反映させることが可能だ。持ち合い株の多い日本企業は「業績のブレを抑えるため、米基準を敬遠する傾向が強まっている」(国内アナリスト)。」
2020年3月期決算要旨(トヨタ自動車)(PDFファイル)
たしかに、トヨタ自動車の決算短信には、「会計基準の選択に関する基本的な考え方」として以下のように書いています。
「当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期より従来の米国会計基準に替えてIFRSを任意適用する予定です。」
決まり文句みたいなものなのでしょう。(国際的でない会社の場合は別の理由を考えないと...)
また、連結損益計算書をみると、「未実現持分証券評価損益」が、2019年3月期 △ 341,054 百万円、2020年3月期 △ 24,600百万円と、非常に大きくぶれています。
ただし、「その他の包括利益・損失」にも、「未実現有価証券評価損益」(税効果考慮後)があって、2019年3月期 △ 21,165百万円、2020年3月期 118,363百万円となっており、全部PL計上というわけではなさそうです。
日経記事とは関係ありませんが、トヨタは減価償却方法の変更で利益をかさ上げしたようです。
「トヨタは、有形固定資産の減価償却方法について、主として、当社および日本の子会社においては定率法、海外子会社においては定額法を採用していましたが、2019年4月1日より、当社および日本の子会社の減価償却方法について、定額法に変更しました。...この減価償却方法の変更の影響は、FASB 会計基準編纂書 (Accounting Standards Codification) 250「会計上の変更及び誤謬の修正」に基づき、会計上の見積りの変更として将来にわたって認識されます。
この減価償却方法の変更により、従来の方法と比較して当連結会計年度の減価償却費は173,201百万円減少し、当社株主に帰属する当期純利益および基本1株当たり当社普通株主に帰属する当期純利益は、それぞれ117,001百万円および41円80銭増加しました。」(同社決算短信より)
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