「退職給付に関する会計基準(案)」及び
企業会計基準適用指針公開草案第35号
「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」の公表
企業会計基準委員会は、企業会計基準公開草案第39号「退職給付に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第35号「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」を、2010年3月18日付で公表しました。
会計基準案は、企業会計審議会が設定した「退職給付に係る会計基準・同注解」を一部改正するとともに、企業会計基準第 3 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」や企業会計基準第 19 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正(その3)」を統合するものです。
適用指針案は、日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 13 号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」を一部改正するとともに、企業会計基準第 14 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正(その2)」や日本公認会計士協会「退職給付会計に関する Q&A」を統合するものです。
主な改正内容は以下のとおりです(本公開草案の概要より)。
1.未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理
・積立状況をそのまま負債又は資産として計上する(未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を、税効果を調整の上で貸借対照表の純資産の部で認識)。
・数理計算上の差異及び過去勤務費用の当期発生額のうち、当期に費用処理されない部分をその他の包括利益に計上。その後の期間に当期純利益を構成する項目として費用処理する際に、その他の包括利益の調整(組替調整)を行う。
2.退職給付見込額の期間帰属方法
・退職給付見込額の期間帰属方法は、次の方法の選択適用
(a) 期間定額基準
(b) 給付算定式に従う方法(退職給付見込額について退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた額を、各期の発生額とする方法)
(この方法による場合、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付額が、初期よりも著しく高い水準となるときには、当該期間の給付額が定額で生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければならない。)
3.割引率
・割引率は、退職給付の見込支払日までの期間ごとに設定された複数のものを使用する(原則的な考え方)
・実務上は、給付見込期間及び給付見込期間ごとの退職給付の金額を反映した単一の加重平均割引率を使用できる。
4.予想昇給率
・退職給付見込額の見積りにおいて合理的に見込まれる退職給付の変動要因には「予想される」昇給等が含まれる。
5.開示の拡充
6.複数事業主制度の取扱いの見直し
7.長期期待運用収益率
・長期期待運用収益率は、退職給付の支払に充てられるまでの期間等を考慮して設定
8.名称等の変更
・退職給付引当金→退職給付に係る負債
・前払年金費用→退職給付に係る資産
・過去勤務債務→過去勤務費用
・期待運用収益率→長期期待運用収益率
一部の改正項目を除き、2011年(平成23 年)4 月1 日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用です(早期適用可)。過去の期間の財務諸表に対する遡及処理は行いません。
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