日本公認会計士協会は、12月3日の日経朝刊の記事についてコメントを発表しました。
「今朝の報道の内容について、当協会が「4月、企業や監査法人に減損の先送りを含めた弾力的な運用を認めていた」という事実はなく、当協会から発したものではありません。...
また、このような報道がなされることについて、当協会が事前に承知していたものでもありません。」
先日当サイトで取り上げた日経記事のことだと思われます。
そこでは、会計士協会だけでなく、金融庁も減損先送りを容認したように書いていました。
「コロナで事業環境の先行きが不透明として、金融庁や日本公認会計士協会は4月、企業や監査法人に減損の先送りを含めた弾力的な運用を認めていた。」
協会コメントでは、金融庁に遠慮してか、「当協会は」認めていないといっているわけですが、金融庁はどうなのでしょう。なぜ否定しないのでしょうか。
また、もし、この日経記事の記述が、日経記者の頭の中ででっち上げたものであれば、フェイクニュースだということになりますが、さすがにそれはないでしょう。常識的に考えると、金融庁・会計士協会の関係者に話を聞いたか、金融庁・会計士協会の関連文書を閲覧するなどして、書いたのでしょう。もしかすると、金融庁が、大臣、与党議員、経団連あたりから、会計基準どおりにやるとたいへんなことになる、会計士が暴走しないように釘を刺しておけみたいなことを示唆されて、ASBJや会計士協会に密かに指示を出していたのかもしれません。ASBJ・会計士協会が4月以降に公表したコロナ関係の指針などをみても、あからさまに会計基準を逸脱してもいいといったことは書かれていないわけですが、日経を含むマスコミには、金融庁から、それら公表物の裏の意図をオフレコでレクチャーし、マスコミは、それに脚色を加えて書いているということなのかもしれません。金融庁は、自分では手を汚さないが、マスコミを使って、減損見送り容認という「空気」を醸し出すことを狙ったようにも見えます。
日経がおかしなことをしつこく書くので、いろいろと想像してしまいます。
いずれにしても、普通の国なら、会計基準・監査基準の厳守を監督するはずの規制当局・職業専門家団体が、会計基準からの逸脱を容認したと、一流マスコミが書けば、スキャンダルになるはずですが、誰も問題にしないというのは不思議です。粉飾を容認する風土があるということなのでしょう。
当サイトの関連記事(2020年4月)(減損見送りに関する日経記事について)(この日経記事に対しても、協会は否定のコメントを出しています。)
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