日本公認会計士協会は、「半導体・液晶用基板電気検査装置の製造及び販売を主要な業務と し、東京証券取引所マザーズに上場していた会社・・・ の平成15年4月期から平成19年4月期までの監査において、・・・監査手続に重大な瑕疵があった」として、創研合同監査法人(現・清算法人)と2名の公認会計士に対する懲戒処分を、2012年1月25日付で公表しました。
監査法人には戒告、公認会計士には会則によって会員に与えられた権利の停止5か月の処分です。
以下のような点を指摘されています。
・「(会社の取引実態は出荷基準適用の基本的前提条件を備えているとはいえない場合があったにもかかわらず)会社に売上計上基準として出荷基準を認めるために十分な検証を行ったとは判断できない」
・「(売掛金に対する残高確認において)確認額と回答額の不一致については、・・・先方の「未検収」というコメントに会社が出荷基準を採用しているということで納得し、深度ある検討は行っていなかった」
・「(会社の仕入取引に関する内部統制の体制と運用状況が不十分であることを十分認識していたにもかかわらず)計上された売上高に関連付けた個々の製品ごとの売上原価計上の検証を行っておらず、また、製品原価ごとの予算と実績との比較や粗利の状況についての検証も行っていない」
・「金額的重要性が高い会社の仕掛品の実在性に関して十分な監査手続を行ったとはいえない」
・「監査法人の意見審査は、 審査担当者への問題点等の情報提供が不十分なまま形式的に行われていた」
「出荷基準」は一般には売上認識基準として妥当なものとされていますが、それでも、監査人は、会社ごと、取引の種類ごとに、それを適用することの妥当性を検討する必要があるということになります。
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