日経夕刊のコラム記事。IFRS財団が立ち上げるESG開示基準づくりのための新組織に対し、日本は資金拠出を表明しているが、それだけでは不十分とのことです。
「国際会計の世界は、お金だけ出せば主導権が握れるほど単純なものでもないだろう。積み重ねた専門性や、それを国際的な議論の場で通すだけの交渉力が求められる。海外の事例をこつこつ研究するだけでなく、新しいものを生み出し認めさせる力を、日本の金融・会計関係者がどれほど有しているだろうか。」
興味深いエピソードを紹介しています。
「00年代初めに国際会計基準づくりがはじまったばかりのとき、国際派で通っていた学術関係者が英ロンドンの関連会議に出席した。テーブルのメンバーが英語で丁々発止の議論をくり広げるなか、この人物だけが同時通訳付きで自説を開陳。休憩時間の雑談の輪にも加わろうとしなかった。
「あなたは英語で学術論文も書いているのに、どうして自分の言葉で話さないのか」との問いに、返ってきた答えは「言質を取られると困る」。国際交渉の場で、キャッチアップ型の人材は意外に力がない。そのことを痛感した一幕でもあった。」
きっと、この「学術関係者」(関西のあの先生でしょうか、あるいは関東の有名国立大学の先生でしょうか)も、純粋な学問の議論の場であれば、自由に意見交換ができたのでしょうが、国の代表として「国益」を背負っている立場では、そうはいかなかったのでしょう。
しかし、金融庁や経団連の主張を一方的に通すことが国益とは限らないので、立場を離れて自由に議論し、その議論内容を国内にフィードバックしてもらう方が、むしろ、国益にかなうかもしれません。
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