イメージワン(東証スタンダード)の改善報告書が公衆縦覧に供されました。縦覧期間は、2024年3月20日(水)から2029年3月19日(月)まで。
理由。
「株式会社イメージ ワン(以下「同社」という。)は、2024年1月16日、同社における不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示し、同年1月31日、過年度の決算短信等の訂正を開示しました。
本件は、同社の適時開示を適切に行うための体制の不備に起因するものであり、改善の必要性が高いと認められたことから、当取引所は2024年3月5日付でその経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求めておりました。」
実際の報告書はこちら。
改善報告書(イメージワン)(PDFファイル)
「当社は、2024 年1月 15 日に第三者委員会から調査報告書(以下「本調査報告書」という。)を受領した結果、当社の元代表取締役が在任中に不適切な金銭授受および利益相反取引規制を潜脱するような行為や、当社の再生バッテリー(以下「バッテリーモジュール」という。)を事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業に関する取引(以下「本蓄電池取引」という。)において、売上の計上に関する不適切な会計処理等の事実が判明しました。」(報告書4ページ)
過年度訂正は、主に、後者の蓄電池取引に関わるものです。
2022年9月期第1四半期から2023年9月期第3四半期までが訂正の対象となっています。
2023年9月期(通期)で影響額をみてみると...
(単位:千円)(5ページ)
純資産影響額は、2023年9月期第3四半期には、△229,959千円になっています。
会社の規模からすると、それなりに大きな金額です。
「発覚した経緯」(5ページ~)によると、取締役の不正行為疑惑に関する内部通報があったほか、取引先の税務調査で指摘があったそうです。
「また、第三者委員会による調査が実施されている中、当社は、本蓄電池取引について、当社の取引先から、取引先の税務調査において当該取引の目的物の実在性に関する重大な問題(以下「本件追加疑惑」という。)があった旨の2023年11月6日付通知文書を受領しました。」
蓄電池取引のスキーム図が示されています(7~8ページ)。
そのうちの譲渡契約スキーム。会社はこの取引金額は全額売上にしていました。
「法人A」から「当社」(イメージワン)に伸びる商流は、結局「法人A」に戻ってくるわけですが、それが架空取引だったようです。
もうひとつの「レンタル契約スキーム」は、「当社」(イメージワン)が投資家からレンタルを受け、転貸するというスキームです。会社は、レンタル料の差額を売上にしていたそうです。
上の図と異なる箇所だけ示すと...
これも、結局「法人A」に戻ってくるスキームで、「当社」が「法人A」から投資家への商品の譲渡のところに関与しているか、投資家から「法人A」へのレンタルの途中で関与しているかの違いなのでしょう。
これが、実際に商品が動いていて、最終ユーザーが存在するというのであれば、取引が複雑すぎるという点はあるにしても、商取引として合法的なのかもしれませんが、「本蓄電池取引の大部分はバッテリーモジュールが実在しない状況で行われた取引であるという蓋然性は高く、最終利用者が存在しない蓋然性も高いことが判明」したとのことです(10ページ)。
架空取引だったとすると、「法人A」は投資家をだましていることにならないのでしょうか。そして、イメージワンは、単なる会計処理の問題ではなく、投資家を欺くような重大な違法行為に関与していたということにならないのでしょうか。
報告書をざっと見た限りでは、そういう観点の記述はないようです。
「不適切な金銭授受および利益相反取引規制を潜脱するような行為」の方は、ごく簡単にしかふれていないようです。利益相反取引の承認や、関連当事者取引の開示の問題、代表取締役による不正な金品の供与があったようです。
このうち、金品供与については...
「当社および子会社の新規事業の展開にあたって、a 氏が、第三者に対して不正に金品を供与したと疑われる行為があったことおよびこれに関連する不正な行為を行った疑いがありました。調査の結果、a 氏は、主に新規事業の関連する形で i 氏に多額の金銭を交付していたことが認められました。」(a氏:代表取締役)(12ページ)