日産の「ガバナンス改善特別委員会」の初会合が20日、東京都内のホテルで開催されたという記事。
「この会見で、西岡共同委員長は、日産による詳細な内部調査の結果を確認したと述べたうえで、取締役報酬の決定プロセス含めたガバナンスに問題あったと指摘した。
また、企業経営者の倫理観に問題あったと個人的には思うとし、カルロス・ゴーン前会長を念頭に「1人の人間に権限集中していたことも問題だった」と語った。
西岡共同委員長は、今後3─4回ほど会合を開き、3月末までに提言まとめる予定であるとの見通しを示した。
他方、誰か1人を名指しして、責任追及することが委員会の目的ではないとも述べた。」
普通の上場会社であれば、不祥事に関する事実関係を確かめるところから、中立的な外部専門家を入れるはずですが、日産の場合は、ゴーン氏を追い出したい現経営陣が、自分たちだけで調べているようです。そもそも、疑いをかけられているゴーン氏らから弁明を聞くこともせず、結論を出しているのも異常です。
また、会社も起訴されている有報虚偽記載問題(当サイトの見方では無罪ですが、一般には実際に重大な虚偽記載があったという意見が強いようです)については、議論しないのでしょうか。
そういう姿勢こそがガバナンス上問題です。
この委員会のメンバーは...
「委員会のメンバーは、会社法・ガバナンスに知見のある元裁判官で弁護士の西岡氏と榊原氏が共同委員長となり、弁護士の佐藤りえ子氏、神戸大名誉教授(会計学)の内藤文雄氏の4人と社外取締役3人の計7人で構成されている。」
こちらの記事によると、委員会のメンバーになっている社外取締役が、おかしなことをいっています。
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日産:ゴーン被告抜きの体制作り進む、会長職廃止も-勾留2カ月(ブルームバーグ)
「「すべてを洗い出している」。日産の井原慶子社外取締役は現在進められているガバナンスの見直しが報酬や人事の決め方などゴーン被告の問題と直接関連する部分に限定せず、社内のほぼすべての機能に関して行われていることを都内でのインタビューで明らかにした。」
「議論の対象は膨大で、ほぼ連日会議が行われている。井原氏ら3人の社外取締役はゴーン被告の解職で空席となっている後任会長候補の選任も委ねられているが、まずは会長職の果たすべき役割の再定義を優先しているという。「会長職が必要かどうかという議論」もあり、井原氏は会長職の役割を再考し、問題があればこれまでのやり方を思い切って変えていくべきだと述べた。」
ガバナンス強化というとき、普通は、業務執行を担当する役員を監督する取締役会の機能を高める、その会長もCEOから分離して、独立性を高めるというのが、定石なのではないでしょうか。会長職を廃止して、社長が監督を受けずに思い通りに会社を支配できるようにすることがねらいなのでしょうか。
このブルームバーグの記事でも、アナリストが、会長職廃止による権力集中のリスクに言及しています。
「自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、会長職が廃止されれば「ルノーとの関係上、日産がコントロールしやすくなるメリットがある」と話す。その一方で権力が社長に集中して独裁体制に陥るリスクも否定できないと指摘。「一人の意見が独走しないように取締役のメンバー全員でガバナンスに取り組めるような仕組み作りをすることが重要だ」と述べた。」
結局、ガバナンスといいながら、大株主であるルノーを排除できるようにする体制づくりが目的なのでしょう。
SECから提訴された米テスラ社も、CEO職と会長職を分離することで和解しています。トップの暴走を防止するには、これが普通の考え方でしょう。
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テスラ新会長、マスク氏の「お目付け役」果たせるか(ロイター)
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