学校法人神奈川歯科大学が投資ファンドを使った運用で巨額の損失を出したという記事。
「大学側によると、投資は平成17年9月から「減価償却引当特定資産」を原資に複数のファンドで始め、19、20年度で評価損を含め計約88億円の損失を出した。20年までに東京、横浜、シンガポールの3つの投資会社を通じて行った計約66億円の投資で、ファンドが無断で解散するなどの不自然な実態が分かった。」
「××引当特定資産」というのは資金の使途を表した資産科目であり、これだけでは中身はわかりません。定期預金や国債の場合もあれば、リスクの高い仕組み債の場合もあります。
この大学の場合、腑に落ちないのは、投資会社(ファンド)を通じた資金運用をしていることです。学校法人の運用としては珍しいのではないでしょうか。投資の中身をきちんと把握していたのかが問題となりそうです。
資産運用に関する新聞報道について(PDFファイル)
「本法人の資産総額が減少したとは言え、当然、教育を維持していく体力は十分あります」といっていますが、大学のサイトを見ても財務情報は公開されていないので、体力が十分かどうかを客観的に判断することはできません。
ただし、損失を計算書類上すでに計上済みであれば、責任追及は別として、半ば解決済みといえますが・・・。
「ずさん運用」神奈川歯大が告訴へ すでに損失52億円
この朝日の記事を読むと、投資会社を通じた投資が実体のあるものかどうかあやしいようです。
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