会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

大物ユニコーン突如誕生、「時価総額」急騰の死角(東洋経済より)

大物ユニコーン突如誕生、「時価総額」急騰の死角

わずかな資金調達で時価総額を膨らませ、ランキング上位に登場する企業が出てきているという記事。

「未上場企業の時価総額は一般的に、直近の第三者割当増資における株式の発行価格に、ストックオプション(新株予約権)など潜在株式を含めた発行株式の総数を掛けて算出される。株式の発行価格は、スタートアップと投資家の相対による交渉で決まる場合が多い。」

ADVASAという会社の例について書いています。

「1月上旬、給与の前払いシステムの開発提供を手がけるADVASA(アドバサ)は、自社の時価総額が2000億円となり、ユニコーンに仲間入りすることを発表した。」

「登記簿によると、会社は2022年11月30日に種類株式(残余財産の優先分配権が付いた株式)を26株発行している。このときの1株当たりの価値(約3880万円)を発行済み株式総数で掛ければ、時価総額は約2000億円となる。

資金調達前の発行済み株式総数に占める新株の割合は0.5%で、ごくわずかな新株の発行でユニコーンになったことになる。登記簿上の資本金増加額から算出して、本ラウンドの資金調達額は約10億円(資本準備金含む)だった。」

「あるフィンテック系の上場企業のCFO(最高財務責任者)は「上場前の資金調達ラウンドでは、10~15%程度の新株を投資家に割り当てるのが一般的。そうでないと、投資家も十分なリターンを得られない。同じフィンテック業界でADVASAの実態やサービス導入の実績はほとんど聞いたことがなく、謎が多い資金調達だ」と指摘する。」

ユーザベースが運営しているINITIALのレポートでは、希薄化率がとくに低い会社がわかる項目が設けられているそうです。

それによると、ADVASAのほかに、Preferred Networks、GVEなどの会社が、評価額に対する増資額の割合が下位1%未満の企業として、フラグがたっているそうです。

3位のGVEについて。

「法定通貨のデジタル化プラットフォームを開発・運営する3位のGVEは、ランキングに反映されていない最新の資金調達も行っている。同調達における新株の発行数は6株で、発行済み株式総数をベースとする希薄化率が0.03%だった。調達額は1.2億円となる本ラウンドを基に算出したGVEの時価総額は4679億円で、2月の最新ランキングでは日本のトップユニコーンとなる可能性がある。」

会計上の時価を算定する際にも、実際の取引価格は重要な要素だとは思いますが、それに頼りすぎるのは危険なようです。

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