ネット広告は、「改ざんと不正が横行する世界」だという記事。
昨年末に大きな詐欺事件があったそうです。
「昨年末、世界のネット広告業界を震撼させたのが、偽のブラウザー上で、数十万にのぼる架空のWebサイトとユーザーを捏造、インターネットのビデオ広告が、多く閲覧されているように見せかけ、全米の広告主から約1億8000万ドル(約211億円)をだまし取ったという詐欺事件だった。
「メスボット」と呼ばれるこの仕掛けは、ロシアの詐欺グループが考案したといわれているが、発見した米の広告詐欺対策ベンダーは、その詳細を明らかにしていない。ここで指摘すべきは、昨年10月の運用開始から年末の発覚までの約2ヵ月半の間に、1日で最大6億円もの被害が出たことだ。
これは過去最大のネット広告詐欺被害の3倍だが、広告代理店や詐欺対策を行うベンダーもロクな対策技術を持っていないことの証明で、ネット広告が拠り所とする閲覧履歴を示すクッキーベースの仕組みが抱える弱点を巧みについているだけに、今後ともこの種の詐欺が、世界のネット広告業界で発生する可能性がある。」
ネット広告の実態は...
「ネット広告は、他の媒体のようにマス層に向けてイメージをアピールするのではなく、閲覧内容やそれに紐づく情報に連動、キーワードに反応する検索連動型の広告が多く、その分、ターゲットが絞りやすく、しかも広告のクリック率と成約率が把握できる双方向の強みがあるとアピールされている。
だが、実態は代理店任せで、広告主は代理店に丸投げし、広告表示回数のインプレッションはもちろん、クリック数などの広告の効果を判定する基本データまで代理店に委ね、代理店が集計したレポート上のデータで済ませているケースがある。
広告と業績が連動、広告効果が表れている間はいいが、効果が見えないと、広告主の担当者は「どうなっている!」と、上司から報告を求められ、あわてて代理店に運用実績の細かい報告を依頼する。だが、代理店は細かい数字を把握していないし、そもそも報告する気がない。
実は、代理店もDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)という業者にシステマチックな運用を委託しているだけなので、単価や業績にはムラがある。そのうえ、残された詳細データは最長でも半年で普通は3ヵ月程度。しかもそこからデータを抽出する作業は煩雑で、細かい報告を求められると、勢い、データを改ざん、虚偽報告が行われる。」
この記事のとおりだとすると、企業の広告費は、とんでもないブラックホールに流れ込んでいることになりますが...。
業界震撼! 過去最大級の広告詐欺スキーム「メスボット」:損害額は1日約6億円?(DIGIDAY)
「アドフラウド(広告詐欺)は新しいものではない。しかし、アドフラウドの検知を行う企業ホワイトオプス(WhiteOps)が、過去最大とするアドフラウドのスキームを発見した。「メスボット(Methbot)」と名づけられたこのアドフラウドは10月以降、動画広告の視聴を偽装して、広告エージェンシーとブランドから1日に300万~500万ドル(約3億5000万~5億9000万円)をだまし取ってきたと考えられている。」
「つまるところ、今回のような攻撃はまた、次の2点も示しているとスミス氏は指摘する。ひとつは、クッキーによってこうした攻撃が非常に容易になっているので、クッキーがデジタルターゲティングへの解答にはならないということ。もうひとつは、クッキーに比べて、ソーシャルIDがより好ましいということだ。「ソーシャルIDは、一定レベルの検証として利用できる長寿命と、より強力な活動信号を備えている。これは現在、クッキーのデータと90日間のライフスパンでは得られない利点だ」。」
DSP広告とは | 知っておきたい4つの基本特徴(MarkeHack)
ちなみに、ビッグ4のひとつであるデロイトは、広告会社もやっています。(不正対策は完璧?)
「経営コンサル」から「デジタルエージェンシー」へ転身した、デロイトデジタルの内幕(2015年)(DIGIDAY)
「世界規模で経営コンサルティング事業を行う企業「デロイトコンサルティング」。その子会社で、デジタルエージェンシーの「デロイトデジタル」は、設立4年で売上15億ドル(約1816億円)の規模に成長した。強みは経営コンサルティングのノウハウで培った、既存のエージェンシーでは提供できない包括的なサービスだ。単なる広告代理店業務だけでなく、戦略策定、ロジスティックス、税務などまで、事業範囲を買収攻勢によって拡大している。」
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