会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ビットコイン、色あせぬ人気 ベンチャー相次ぎ誕生「危うさ」より「将来性」(産経より)

ビットコイン、色あせぬ人気 ベンチャー相次ぎ誕生「危うさ」より「将来性」

「マウントゴックス」の経営破綻にもかかわらず、ビットコイン関連のベンチャー企業が次々と生まれているという記事。

「・・・そんなビットコインで一旗揚げようと、関連ビジネスに参入する企業が後を絶たない。4月にビットコイン交換所の「ビットフライヤー」、7月には決済技術を提供する「コインパス」が事業を開始。8月も米国企業と中国企業の合弁会社「ビットオーシャンジャパン」がドルと円とのビットコインの取引所を開始する予定だ。米取引所「クラケン」も日本法人を設立し、日本語の取引サイトの運営を近く始める。」

「彼らに共通するのはビットコインの将来性に対する多大な期待だ。国家の保障がなくても価値を持ち、安いコストで瞬時に資産を移動できる手段であるビットコインは、自国通貨に信頼が置けない国民にとっては魅力だ。投資家にとっては値動きの大きさが収益機会と映る。

・・・・

 ビットコインの推計取扱高は昨年2兆円と前年の数倍規模に膨れ上がった。・・・」

政府見解では、ビットコインは通貨ではないということで、金融システムの範囲外として、規制からははずれています。これを見直そうという動きがあるようです。

「利用者を保護したり、業者を規制したりして健全な発展を促す団体の設立を後押ししたのは政界の動きだ。自民党のIT戦略特命委員会小委員会は6月にビットコインの普及について、利用者の自己責任で容認すべきだ、との提案をまとめ、協会(注:ビットコインの自主規制団体)設立のきっかけになった。」

政界の動向については、こちらの記事に少し詳しく出ています。

自民党、ビットコイン規制強化を見送り 利用者の自己責任で取引が明確化(JCASTニュース)

「現行法制では金融庁、消費者庁など、いずれもビットコインの所管官庁でないため、消費者保護に向け、自民党の対応が注目されていた。しかし、自民党はビットコイン関連企業が自主的に業界団体を設立し、交換所のガイドラインを策定するとともに、経済産業省、金融庁、消費者庁、警察庁、国税庁などが「相談・助言を適宜実施する」などとする緩やかな改善方針にとどめた。」

ところで、ビットコインをたまたま保有することになった場合の会計処理は、どうなるのでしょうか。

交換価値はあるものの、通貨ではなく、例えば、一部の関係者の間でしか流通しない「古銭」みたいなものということなると、流動資産として、適当な科目名を付けて計上するということになるのでしょう。

こちらの記事で検討されています。

ビットコイン -貨幣でないモノをどう会計処理するのか?(プレジデント)

政府の公式見解を離れて、ビットコインも通貨の一種であり、現金として処理するという考え方はありえないのでしょうか。

まず、通貨(日本銀行券)とちがって、決済手段としての法律上の強制力がないという点ですが、これは外国通貨も同じです。外国通貨は、その国でしか強制力を持ちませんが、だからといって、日本企業のBSで現金として計上できないわけではありません。

また、価値が変動するという点については、どうでしょうか。これも、外国通貨が為替レートの変動により価値が変動するにもかかわらず、現金勘定に計上されることを考えれば、現金から排除する理由にはならないように思われます。

さらに、信用力のわからない、得体のしれない財産であるという点はどうでしょうか。この点についても、今にも潰れそうな会社の発行した小切手でも、現金勘定で処理する(もちろんすぐに銀行に持ち込んで現金化しないと危険ですが)ということと比較すれば、程度の問題といえるかもしれません。

そもそも、日本の通貨にしても、日本銀行の債務にすぎないわけであり、その裏付けになっているのは、日本銀行の貸借対照表に計上されている金融資産(その代表が毎年大赤字の日本国が発行した国債)です。見方によっては、結構危ない資産といえます。

ビットコイン16億円分が消失 警視庁、電算詐欺容疑で本格捜査 マウントゴックス経営破綻(産経)

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない
野口 悠紀雄

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