会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

(書籍の紹介)野村證券第2事業法人部

4062204622野村證券第2事業法人部
横尾 宣政
講談社 2017-02-22

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オリンパス粉飾事件の飛ばし指南役とされている人物が本を書いたようです。

(宣伝文より)

「トヨタを上回る約5000億円もの経常利益を叩きだし、日本一儲けた会社だった野村證券。その黄金の日々を克明に描く。」

「...第二事業法人部時代に付き合いのあったオリンパスと仕事をするうち、巨額粉飾決算事件に巻き込まれ、刑事被告人に。「飛ばしの指南役」などと名指しされた著者が、激しくも懐かしい野村時代と人生を暗転させた事件のすべてを実名で書いた。」

(「著者について」より)

「2011(平成23)年に発覚したオリンパスの巨額粉飾決算事件では粉飾の「指南役」とされ、翌12年に証券取引法・金融商品取引法違反容疑で逮捕される。その後、詐欺、組織犯罪処罰法違反の容疑も加えられるが、当初から一貫して容疑を否認。1審・2審で有罪判決を受け、現在、最高裁に上告中。」

ところで、オリンパス粉飾事件と、今問題になっている東芝を比べると、オリンパスは基本的に金融分野の粉飾だった(だから野村證券出身の人が登場する)のに対し、東芝は本業の業績をよく見せるための粉飾であり、経営判断を誤らせたという意味で、粉飾の後遺症は東芝の方が大きいようです。

両者が似ている点は、どちらものれんが問題になっている点でしょう。もちろん、オリンパスの場合は、もともと、飛ばし損失を処理するための架空のれんだったのに対し、東芝の場合は、一応実態のある事業を買収した結果生じたのれんという違いがあり、東芝ののれんの発生自体は不正ではありません。だたし、オリンパスで使われたような実態のない会社の買収では、架空のれんの金額のほかは大きな損失は出てきませんが、実態のある事業を買収して、その経営がまずければ、損失はいくらでも膨らむ可能性があります。この点でも、東芝の方が傷が深いといえます。(今回の米建設会社買収で突然登場した数千億円ののれん(減損処理予定)は、本当に正当なものなのか疑問ですが)
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