日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」を、2021年2月12日付で公表しました。
「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」というプロジェクトの一環として出されたものです。
「監査人が被監査会社から PDF で企業内部の記録や文書を入手する場合における監査上の留意事項を取りまとめて」います。
PDF 変換により入手する監査証拠にはどのようなリスクがあるのか...
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/7b/f91542bf90ec57f143ab517e8f1af617.png)
(上記報告書3ページ)
PDF 変換の起点(PDF 変換の発意者)別の留意事項は...
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/ff/b93cdcfda8521637145d741df6040d2f.png)
(同上5ページ)
監査人から依頼する前からPDFになっている場合は、内部統制も見なければならないようです。
PDF に変換された監査証拠の真正性を確かめるための手続は...
「監査人が監査証拠として入手した全ての PDF に対して、その原本を確認することは、必ずしも要求されるものではない」(5ページ)とされていますが、「重要な虚偽表示リスクの程度に応じて証明力が強い監査証拠を利用する場合」や「監査証拠として利用する PDF の信頼性に関して疑義を抱く場合」には、
「PDF の原本を確認し、さらにその他の手続を組み合わせて実施することが考えられる。」
以下のような手続が例示されています。
「(例示)
(1) PDF の原本を確認する。また、...取引先等外部から送付されたメールなどの PDF の送信記録を確認するほか、(2)①~④の手続を実施して、十分かつ適切な監査証拠を入手できているかどうかを評価することが考えられる。
(2) 以下の手続を実施する。
① 入手した PDF について、その作成に関与する者に対して質問を実施する。
② 他の監査手続で入手した監査証拠と矛盾が生じていないか確かめる。
③ PDF の原本の発行が企業外部の場合、原本の発行者に直接確認を行う。
④ PDF のプロパティ情報から、PDF の作成者、作成日時、更新日時などを確かめる(別紙「4.PDF のプロパティ情報の確認方法」参照)。」
別紙では、 PDF のプロパティ情報の確認方法のほか、PDF 変換に関するリスクの例示、監査人が被監査会社に対して PDF 変換を依頼する方法の例示が示されています。
なお、2021年2月12日までに公表されている「リモートワーク対応」報告書は、これを含め、以下のとおりです。
第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」
第4号「構成単位等への往査が制限される場合の留意事項」
第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」
第2号「リモート棚卸立会の留意事項」
第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項 ~監査人のウェブサイトによる方式について~」