スルガ銀行がシェアハウス関連の融資について2018年3月期に多額の損失を計上する方針だという記事。
「女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡る投資トラブルで、スルガ銀行は2018年3月期決算で大幅な損失を計上する方針だ。大半の所有者に合計で1000億円超の建設資金を融資。運営会社の破綻で約束された賃料を得られない所有者が続出し、貸し倒れのリスクが高まった。損失は数百億円規模に膨らむ可能性があり、業績の下振れは避けられない。」
「同行は、所有者の返済能力に応じ、貸付金利や毎月の返済額を軽減する措置を取りつつ、将来の焦げ付きリスクを1件ごとに精査している。」
「シェアハウス融資は総額で1200億円規模とされる。土地・建物など担保の価値は400億円規模とみられる。残る800億円程度の処理が焦点となり、計上する損失は数百億円規模にのぼる可能性がある。」
銀行が関与していたのかどうかは不明ですが、文書改ざん発覚で債務者の状況に関する情報のかなりの部分がでたらめであることがわかり、また、運営会社破綻で債務者が見込んでいたキャッシュフロー(融資返済原資となるはずのもの)が得られなくなったわけですから、当然、引当金を見直す必要があります。
決算発表を少しぐらい遅らせてでも、徹底的に調べる必要があるのでは。監査人も、会社による調べが終わり、その内容を検証しないうちに監査報告書を出すことはできないでしょう。
スルガ銀行関連記事。
スルガ銀が返済見直し提案 シェアハウス問題で 元本の減免には応じず(SankeiBiz)
「関係者によると、スルガ銀は物件を所有する約700人の大半に貸し出している。そのうち半数程度に対し、返済能力に応じて金利や毎月の返済額などを見直した新たな返済計画を提案したもようだ。」
「ただ元本の減免には応じない方針だ。」
金融庁の優等生、スルガ銀行の転落(朝日)
「融資を受けたのは、商社マンなどの会社員や医師ら700人超で、30~50歳が多い。融資額は1人当たり1~4億円にのぼり、総額1000億円を超える公算だ。被害規模が大きく、社会問題化しつつある。
金融庁は当初、スルガ銀行に対し、銀行法に基づく報告徴収命令を出して融資実態を把握しようとした。特定の支店に融資実行が集中しており、同行の役員レベルが関与している疑いが浮上。ローン審査の過程で、審査に通りやすくするため審査対象の会社員らの源泉徴収票の偽造や預金残高の水増しなどで不正に融資を実行していた可能性も出てきた。
このため、緊急の立ち入り検査をして実態を把握する必要があると判断。法令違反が見つかれば行政処分に踏み切る構えだ。一部支店の関与なのか、組織ぐるみだったのかが今後の焦点となる。」
「スルガ銀行は現時点でスマートデイズ社による虚偽の書類で銀行ローンを実行させられ、総額数百億円の回収のめどが立たなくなった。この点ではスマートデイズ社に利用された「被害者」の可能性がある一方、銀行の支店内で説明会を開くなどスマートデイズ社と共犯関係にあった可能性も否定できない。
金融庁検査の結果いかんで、故意はなくても審査で不正を見抜けなかった過失が認定される可能性もある。関係者によると、同行横浜東口支店の顧客として使途自由の「フリーローン」を重複して借りているケースが多いという。この結果、同支店は同行内でも何度も営業成績を表彰される超優良支店だった。」
「スルガ銀行は静岡県沼津市内に本店を置く地方銀行で、神奈川県や東京都にも支店を置く。預金残高は4兆760億円、貸出金は3兆2860億円。銀行には珍しい同族経営で、企業向け融資を極力抑制し、個人ローンに特化するなど、他の銀行と異なるビジネスモデルをトップダウンで確立した。鶴の一声で経営上の重要な方針が決まることもあり、他の地銀は「カリスマ経営者の迅速なトップダウンといえば聞こえは良いが、実態はノーガバナンスだろう」と指摘する。」
銀行としては異色かもしれませんが、ノンバンクやサラ金を本体でやっていると思えば、いいのでしょう。
スルガ銀、11営業拠点で不正見逃し 融資の資料改ざん(朝日)
「重複を除くと、同行が都内に置く5支店を含む計11支店・出張所で不正が見逃され、貯蓄や年収が基準に満たない会社員らに過剰な融資が実行された。」
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