「西武信用金庫は連結決算を作成した中小企業に通常の貸し出しよりも低利で融資する。連結決算を導入する中小企業はまだ少なく、経営者や金融機関がともに中小の経営状態をより正確に把握する必要があると判断した。低利融資で連結決算の導入を後押しする。」
「TKC東京都心会と共同で税理士、公認会計士が適切な連結決算であることを証明するためのチェックリストを開発。融資に際してはチェックリストと、連結の貸借対照表、損益計算書などの書類を提出してもらう。」
わが国では、制度上、連結決算は上場企業(+非上場の金融商品取引法監査対象会社)に限られ、かつ、正式の会計基準に準拠したものしか想定されておらず、中小企業向けの会計指針や会計要綱では、連結決算は、完全に視野の外になっています。(会社法の連結計算書類も金商法適用会社以外は任意)
中小企業(といっても子会社を持つようなある程度の規模の会社になりますが)にも、連結決算を推奨すべきだとは思いますが、現行では、厳密には、上場企業とまったく同じ完全版の会計基準に準拠するしかないわけであり、少しハードルが高いのではないかと思われます。
海外で適用されている、あるいは検討中である、中小企業向けの会計基準では、連結決算も規定の中に含まれているようです。日本の中小企業向け指針でも、連結決算を範囲に含めたものとすべきでしょう。制度で強制されていないからといってまったく無視してしまうと、連結決算の必要性を感じている中小企業(少数派だと思いますが)に対応できなくなります。
連結→コンバージェンス、個別→古き良き日本の会計を守る、という考え方でいいのか、という問題にもつながります。
なお、この記事のケースでは、法律上、監査証明業務は公認会計士の独占業務のはずなのに、税理士が「適切な連結決算であることを証明」できるのかという別の問題があります。
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