カジキタドリーム≪宝塚歌劇団OGと市民による ミュージカル&レビュー≫

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『三銃士』の原作

2022-04-02 10:53:01 | カジキタメンバー稽古日誌
今回のブログ当番は豆知識を披露するのが大好きなエイです。(^^;) えっと、よろしくお願いします…

夏の立川公演は三銃士のお話なので、三銃士の原作についてちょっと考えてみたいと思います。(カジキタドリームの脚色は原作とはちょっと違うので、、、ネタバレにはならないはずです。)

私が読んでいた英訳版は800ページぐらいありますが、一回開いたらなかなか閉じられない楽しさもあって、気づいたら二週間で全部読みました。最初は新聞で出版されたらしいので、読者が次の章を読みたくなるように作家のデュマは良く工夫したでしょう。

今や「文学」と「伝統文化」とされている作品の中に、大衆娯楽から始まったものが多いですね。シェイクスピアや歌舞伎など… シェイクスピアの時代では、公演のチケットはビール一杯と値段が同じで、上演中にも観客が歩き回ったり、お酒やおやつを買ったりしていました。

動物も舞台に出て、サーカスのようなものだったでしょう。(「熊に追われて退場」というト書きが有名ですが、あれは恐らく本物の熊でした。) 『三銃士』も、一見ではページ数だけ見てハードル高いと思っても、読んでみると時代や国を超えて多くの人に愛されてきた理由がわかります。


1894年からのイラスト。
左: 三銃士と銃士に憧れているダルタニャン。右: 様々な事情あって、女装してスリッパをはいたまま道を走っているダルタニャン。
このようなコミカルな場面が多いです。

『三銃士』は舞台が17世紀で、シェイクスピアの時代と近いですが、実際に書かれたのは19世紀でした。ところで、私はたまたま今19世紀の小説などにハマっています。夕方に紳士たちが燕尾服を着て、ステッキ持ってオペラに出かけるとか、そういう場面が大好きです。

宝塚のショーでもやっぱり燕尾の踊りが見せ場になることも多くて、宝塚のファンとして、日常生活で燕尾を着る人のいる時代って素敵だな、と思ってしまいます。しかし、こういう小説では、「この時代のファッションはつまらない」「黒のものばかりで、気分が暗くなる」とか言う人もたまに出てきます。私が19世紀のファッションを素敵に思っていると同じように、当時にはもっと昔の洋服が良かったという人もいたでしょう。確かに、19世紀はスーツが登場した時代だし、三銃士の世界のレースの付いた派手な衣装とは全然違いました。

イラスト: 王と王妃も出席している舞踊会

三銃士の中に、特に派手な洋服を好むのはポルトスです。彼は銃士隊の制服を着ないで、好きな服を着ていることの説明の中に、ちょっと謎の文があります。「当時は今ほどの自由は許されていなかったとはいえ、相当なわがままはできた。」民主主義のための革命までも歴史にあったという面では、デュマの時代のフランス人は王に仕えている銃士たちより自由が手に入ったはずです。でも、19世紀の急速な近代化で何か失われた物もあると感じていたかもしれません。これは、現代人は生活が豊かになってきたとわかっても、スマホのない時代のほうがずっと画面見ないで、一瞬一瞬を大切にすることが出来たと考えたりするのと同じかなと思います。

原作では、民主主義がなくても、三銃士はわがままと言ってもいいぐらい自由な存在です。例えば、決闘は法律上禁止されているのに、頻繁に決闘しています。

左: 決闘が始まる直前の銃士たち。
右: 戦いの場面でのポーズを考えている舵先生。

今回のミュージカルはストーリー的には原作からちょっと離れていますが、原作にある勢いとコメディを踊りやアクションで表現できるように頑張りたいと思います。

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