母の仕事

母は７９歳の去年の夏　暑くて急激に体が弱って
毎朝近くの病院に点滴にだけは行って
暑い　暑い　と言いながら
１日中ほとんど横になっていた

記憶の持続５分以内　今のことを覚えていない母
それは去年の前半から　いや　今になって思えば
もっと以前から少しずつ進行していて
かなり仕事に支障をきたし始めていた

自分でそれを自覚していたのか
秋口から身体が回復しても会社に出ようとはしなかった

それ以前は　会社の経営が心配で
死ぬに死ねないと言っていたのに今は　
どうしてこんなに長生きしてるんだろうと
自分が何も役に立っていない気がしているようなのだ

母の仕事を取り上げてはいけない

(キッチンの洗いものは)置いといてねと
毎回必ず言う
もともと洗いものは好きじゃないし
やろうと思っても時間が取れない
仕事の合間に自宅のおかずを作っていても
全部焦げる

夜寝る前　自分の分だけ
おパンツとショートストッキング
ピンチハンガーに干しておいたら
朝起きると　
まだ乾ききらないのにはずされていて
ほかのものが干されていた