伝道の書 解説 2
旧約聖書の「伝道の書」の中の
言葉を取り上げました。
「伝道の書」の著者は,
ソロモンであるとされています。
ソロモンは,イスラエルの3代目の王です。
1.
(伝道1:2)
「空の空。
伝道者は言う。
空の空。
すべては空。」
この伝道の書の著者のソロモンの結論は,
次の通りです。
(伝道12:13)
「結局のところ,
もうすべてが聞かされていることだ。
神を恐れよ。神の命令を守れ。
これが人間にとってすべてである。」
2.
「知恵と知識と喜び」
(伝道2:24-26)
「人には,食べたり飲んだりし,
自分の労苦に満足を見いだすよりほかに,
何も良いことがない。
これもまた,
神の御手によることがわかった。
実に,神から離れて,
だれが食べ,
だれが楽しむことができようか。
なぜなら,
神は,みこころにかなう人には,
知恵と知識と喜びを与え,
罪人には,
神のみこころにかなう者に渡すために,
集め,たくわえる仕事を与えられる。
これもまた,むなしく,
風を追うようなものだ。」
人は神から人生を与えられています。
人生を楽しみながら過ごすべきです。
人生は神からはなれて楽しむことは
むなしいものです。
(1テモテ6:17)
「この世で富んでいる人たちに
命じなさい。
高ぶらないように。
また,
たよりにならない富に
望みを置かないように。
むしろ,
私たちにすべての物を豊かに与えて
楽しませてくださる神に
望みを置くように。」
3.
神のなさること
(伝道3:11)
「神のなさることは,
すべて時にかなって美しい。
神はまた,
人の心に永遠への思いを与えられた。
しかし,人は,神が行なわれるみわざを,
初めから終わりまで
見きわめることができない。」
あらゆる出来事の背後に,
神の深い愛に裏打ちされた
摂理の御手があり,
神が永遠において,
最善をなしてくださると信じます。
4
ふたりがよい
(伝道4:9-12)
「ふたりはひとりよりもまさっている。
ふたりが労苦すれば,
良い報いがあるからだ。
どちらかが倒れるとき,
ひとりがその仲間を起こす。
倒れても起こす者のいない
ひとりぼっちの人はかわいそうだ。
また,
ふたりがいっしょに寝ると暖かいが,
ひとりでは,どうして暖かくなろう。
もしひとりなら,
打ち負かされても,
ふたりなら立ち向かえる。
三つ撚りの糸は簡単には切れない。」
孤独でいるよりは,
仲間や友達といるほうが良い。
互いが助け合うことが出来るからである。
(箴言4:9)
「ふたりはひとりよりもまさっている。
ふたりが労苦すれば,
良い報いがあるからだ。」
友愛の尊さを教えています。
イエス・キリストは
次のようにおっしゃいました。
(ヨハネ13:34)
「あなたがたに
新しい戒めを与えましょう。
あなたがたは互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように,
そのように,
あなたがたも互いに愛し合いなさい。」
イエス・キリストが十字架にかかって,
神と人との交わりの回復をしました。
人と人との間の垣を取り除くためでした。
5.
金銭を愛する者
(伝道5:10)
「金銭を愛する者は
金銭に満足しない。
富を愛する者は収益に満足しない。
これもまた,むなしい。」
パウロは次のように言いました。
(1テモテ6:17)
「この世で富んでいる人たちに命じなさい。
高ぶらないように。
また,
たよりにならない富に
望みを置かないように。
むしろ,私たちにすべての物を
豊かに与えて
楽しませてくださる神に
望みを置くように。」
6.
人生のむなしさ
(伝道6:10-12)
「今あるものは,何であるか,
すでにその名がつけられ,
また彼がどんな人であるかも
知られている。
彼は彼よりも力のある者と
争うことはできない。
多く語れば,
それだけむなしさを増す。
それは,
人にとって何の益になるだろう。
だれが知ろうか。
影のように過ごす
むなしいつかのまの人生で,
何が人のために善であるかを。
だれが人に告げることができようか。
彼の後に,
日の下で何が起こるかを。」
人生は神から離れては,
むなしいものです。
(ヤコブ4:14)
「あなたがたには,
あすのことはわからないのです。
あなたがたのいのちは,
いったいどのようなものですか。
あなたがたは,
しばらくの間現われて,
それから消えてしまう霧にすぎません。」
7.
人生をまじめに生きよ
(伝道7:1-6)
「良い名声は良い香油にまさり,
死の日は生まれる日にまさる。
祝宴の家に行くよりは,
喪中の家に行くほうがよい。
そこには,
すべての人の終わりがあり,
生きている者が
それを心に留めるようになるからだ。
悲しみは笑いにまさる。
顔の曇りによって心は良くなる。
知恵ある者の心は喪中の家に向き,
愚かな者の心は楽しみの家に向く。
知恵ある者の叱責を聞くのは,
愚かな者の歌を聞くのにまさる。
愚かな者の笑いは,
なべの下のいばらが
はじける音に似ている。
これもまた,むなしい。」
(2コリント7:10)
「神のみこころに添った悲しみは,
悔いのない,
救いに至る悔い改めを生じさせますが,
世の悲しみは死をもたらします。」
8.
見極めることが出来ない神
(伝道8:16,17)
「私は一心に知恵を知り,
昼も夜も眠らずに,
地上で行なわれる
人の仕事を見ようとしたとき,
すべては神のみわざであることがわかった。
人は日の下で行なわれるみわざを
見きわめることはできない。
人は労苦して捜し求めても,
見いだすことはない。
知恵ある者が知っていると思っても,
見きわめることはできない。」
神は無限,人は有限です。
ですから,神を知ることはできても。
すべてを知ることはできません。
(ロマ11:33)
「ああ,神の知恵と知識との富は,
何と底知れず深いことでしょう。
そのさばきは,何と知り尽くしがたく,
その道は,
何と測り知りがたいことでしょう。」
9.
知恵ある者の静かなことば
(伝道9:17,18)
「知恵ある者の静かなことばは,
愚かな者の間の支配者の叫びよりは,
よく聞かれる。
知恵は武器にまさり,
ひとりの罪人は
多くの良いことを打ちこわす。」
10.
王をのろうな
(伝道10:20)
「王をのろおうと,
ひそかに思ってはならない。
寝室でも富む者をのろってはならない。
なぜなら,空の鳥がその声を持ち運び,
翼のあるものが
そのことを告げるからだ。」
いかなる秘密も,
必ず外部に漏れてしまうというものです。
日本にも「壁に耳あり,
障子に目あり」ということわざがあります。
(ルカ12:3)
「あなたがたが暗やみで言ったことが,
明るみで聞かれ,
家の中でささやいたことが,
屋上で言い広められます。」
11.
パンを水の上に投げよ
(伝道11:1-4)
「あなたのパンを水の上に投げよ。
ずっと後の日になって,
あなたはそれを見いだそう。
あなたの受ける分を
七人か八人に分けておけ。
地上でどんなわざわいが起こるか
あなたは知らないのだから。
雲が雨で満ちると,
それは地上に降り注ぐ。
木が南風や北風で倒されると,
その木は倒れた場所にそのままにある。
風を警戒している人は種を蒔かない。
雲を見ている者は刈り入れをしない。」
わたしたちは労苦を惜しんではならない。
神は私たちに
報いてくださるというものです。
(ガラテヤ6:9)
「善を行なうのに飽いてはいけません。
失望せずにいれば,
時期が来て,
刈り取ることになります。」
12.
あなたの若い日に
(伝道12:1)
「あなたの若い日に,
あなたの創造者を覚えよ。
わざわいの日が来ないうちに,
また『何の喜びもない。』
と言う年月が近づく前に。」
伝道者は「空の空」と
言い続けてきましたが,
ここでその解決を言います。
「創造者」とは,
天地を造られた神のことです。
(創世記1:1)
「初めに,神が天と地を創造した。」
「覚えよ」とは,思い浮かべよ,
心に留めよ,顧みよと言う意味です。
人格的な交わりを持つことです。
「あなたの創造者を覚えよ」とは,
創造者を心に留め,たえず思い,
神との交わりの内に生きよとの勧めです。
このことが,
「空の空」を解決する唯一の方法です。
それは,天地を造られた神を信じ,
神とともに歩み,
神のために生きる道です。
2016-06-07