箴言 解説 5
○
箴言の主要な著者は
ソロモン王です。
ソロモンの名は箴言1:1などに,
出てきます。
箴言はソロモンが王であり,
イスラエルの国が霊的,
政治的,文化的,
また経済的に最も栄えていた時期,
紀元前900年頃に
書かれたといわれています。
○
ソロモンの箴言
(箴言1:1)
「ダビデの子,
イスラエルの王ソロモンの箴言。」
ソロモンは王になったとき,
知恵を神に求めました。
そして,神から知恵を得ます。
(1列3:5-14)
○
知恵が心に入る
(箴言2:10)
「これは知恵が,
あなたの心にはいり,
知識があなたの魂に
楽しみとなるからである。」
知恵が心に入ると,
霊的な命と力が生まれます。
○
主に信頼する
(箴言3:5,6)
「心を尽くして主に信頼し,
自分の分別には頼らず,
常に主を覚えてあなたの道を歩け。
そうすれば,
主はあなたの道筋を
まっすぐにしてくださる。」
箴言の主題です。
○
知恵は真珠よりも尊い
(箴言3:15)
「知恵は真珠よりも尊く,
あなたの望むどんなものも,
これとは比べられない。」
知恵は真珠より尊い
知恵を見出す人の幸福を
述べています。
○
知恵を得よ
(箴言4:5,6)
「それを忘れることなく,
またわが口の言葉に
そむいてはならない,
知恵を得よ,
悟りを得よ。
知恵を捨てるな,
それはあなたを守る。
それを愛せよ,
それはあなたを保つ。」
何よりも神の知恵を
熱心に求めなければならない。
知恵を求めよと,
父が子に教えています。
○
幸福な結婚生活の祝福
(箴言5:15-19)
「あなたの水ためから,
水を飲め。
豊かな水をあなたの井戸から。
あなたの泉を外に散らし,
通りを水路にしてよいものか。
それを自分だけのものにせよ。
あなたのところにいる
他国人のものにするな。
あなたの泉を祝福されたものとし,
あなたの若い時の妻と喜び楽しめ。
愛らしい雌鹿,
いとしいかもしかよ。
その乳房がいつもあなたを酔わせ,
いつも彼女の愛に夢中になれ。」
自分の妻によって
満足すること教えています。
結婚生活の祝福です。
○
父の命令
(箴言 6:20-22)
「わが子よ。
あなたの父の命令を守れ。
あなたの母の教えを捨てるな。
それをいつも,あなたの心に結び,
あなたの首の回りに結びつけよ。
これは,あなたが歩くとき,
あなたを導き,
あなたが寝るとき,
あなたを見守り,
あなたが目ざめるとき,
あなたに話しかける。」
親が神に従うなら,
子は親の命令を
守りなさいというものです。
☆彡
(箴言 6:20-22)口語訳
「わが子よ,
あなたの父の戒めを守り,
あなたの母の教を捨てるな。
つねに,これをあなたの心に結び,
あなたの首のまわりにつけよ。
これは,あなたが歩くとき,
あなたを導き,
あなたが寝るとき,
あなたを守り,
あなたが目ざめるとき,
あなたと語る。」
○
心の板に書き記す
(箴言7:1-3)
「わが子よ,
わたしの言葉を守り,
わたしの戒めを
あなたの心にたくわえよ。
わたしの戒めを守って命を得よ,
わたしの教を守ること,
ひとみを守るようにせよ。
これをあなたの指にむすび,
これをあなたの心の碑にしるせ。」
申命記を受けています。
(申命記6:4-7)
「イスラエルよ聞け。
われわれの神,
主は唯一の主である。
あなたは心をつくし,
精神をつくし,力をつくして,
あなたの神,
主を愛さなければならない。
きょう,わたしがあなたに命じる
これらの言葉をあなたの心に留め,
努めてこれをあなたの子らに教え,
あなたが家に座している時も,
道を歩く時も,
寝る時も,起きる時も,
これについて
語らなければならない。」
○
計りごと,知恵は神のもの
(箴言8:13,14)
「主を恐れるとは
悪を憎むことである。
わたしは高ぶりと,おごりと,
悪しき道と,偽りの言葉とを憎む。
計りごとと,確かな知恵とは,
わたしにある,
わたしには悟りがあり,
わたしには力がある。」
「計りごと」は,神の摂理です。
「計りごと」と「知恵」は,
神にあるといいます。
○
聖なる者を知る
(箴言9:10)
「主を恐れることは
知恵のもとである,
聖なる者を知ることは,
悟りである。」
聖なる者を知ることは悟りです。
主を恐れるとは,
神を敬い神の意思に
服従することです。
箴言の主題1:7の繰り返し
(箴言1:7)
「主を恐れることは
知識のはじめである,
愚かな者は
知恵と教訓を軽んじる。」
○
むだ口をたたく愚かな者
(箴言10:8)
「心のさとき者は戒めを受ける,
むだ口をたたく愚かな者は
滅ぼされる。」
むだ口をたたく者は滅ぼされます。
(マタイ7:24)
「わたしのこれらの言葉を
聞いて行うものを,
岩の上に自分の家を建てた
賢い人に比べることができよう。」
○
いのちの泉
(箴言10:11)
「正しい者の口はいのちの泉。
悪者の口は暴虐を隠す。」
人の言葉は,
いかに大切かを教えています。
キリスト者の中の言葉は
命の水であります。
正しいものが語る言葉は,
聞く者に霊的な活力を与えます。
○
正しい者
(箴言11:9)
「不信心な者は
その口をもって隣り人を滅ぼす,
正しい者は
知識によって救われる。」
神は,正しい人を救うと言います。
○
正しい人の口
(箴言12:6)
「悪しき者の言葉は,
人の血を流そうとうかがう,
正しい人の口は人を救う。」
悪者は人々を罪に陥らせます。
正しい人は
悪者のわなから救い出します。
○
家畜の命を顧みる
(箴言12:10)
「正しい人は
その家畜の命を顧みる,
悪しき者は残忍をもって,
あわれみとする。」
家畜の命に気を配る神は,
神が作ったものを
心に配っています。
神の慈しみは,
家畜にも広げられます。
○
高ぶり
(箴言13:10)
「高ぶりはただ争いを生じる,
勧告をきく者は知恵がある。」
高ぶる者は自分のほうが
優れていると思って
競争したがるので争いが生じます。
知恵による勧告は,
謙遜になるように勧めます。
○
正しい者はのがれ場がある
(箴言14:32)
「悪しき者は
その悪しき行いによって滅ぼされ,
正しい者はその正しきによって,
のがれ場を得る。」
正しいものには,
逃れ場である神がいます。
○
正しい者の祈り
(箴言15:29)
「主は悪しき者に遠ざかり,
正しい者の祈を聞かれる。」
神は,
正しい者の祈りを聞かれます。
(1ヨハネ3:22)
「そして,願い求めるものは,
なんでもいただけるのである。
それは,
わたしたちが神の戒めを守り,
みこころにかなうことを,
行っているからである。」
○
いつくしみとまこと
(箴言16:6)
「いつくしみとまことによって,
とがはあがなわれる,
主を恐れることによって,
人は悪を免れる。」
「恐れる」とは,
神を敬い畏れることです。
(箴言16:6 新改訳)
「恵みとまことによって,
咎は贖われる。
主を恐れることによって,
人は悪を離れる。」
○
業を主にゆだねよ
(箴言16:3)
「あなたの業を主にゆだねれば,
計らうことは固く立つ。」
神の全能に
わたしたちは
業をゆだねなさいといいます。
(詩編37:5)
「あなたの道を主にゆだねよ。
主に信頼せよ。
主が成し遂げてくださる。」
受肉したイエス・キリストが
道です。
○
銀にはるつぼ
(箴言17:3)
「銀にはるつぼ,金には炉,
人の心をためすのは主。」
銀や金は炉で精錬されて,
純度の高い物になります。
同じように人の心も,
心を主にためされないと
いけません。
不順なものを
取り除いてもらわなければ
いけません。
(1ペテロ1:7)
「あなたがたの信仰の試練は,
火で精錬されつつ
なお朽ちて行く金よりも尊く,
イエス・キリストの現れのときに
称賛と光栄と栄誉になることが
わかります。」
○
心の冷静な人
(箴言17:27)
「言葉を少なくする者は
知識のある者,
心の冷静な人はさとき人である。」
言葉をひかえることを
教えています。
(詩編39:1,2)
「わたしは言った,
『舌をもって罪を犯さないために,
わたしの道を慎み,
悪しき者のわたしの前にある間は
わたしの口に
くつわをかけよう』と。
わたしは黙して物言わず,
むなしく沈黙を守った。
しかし,
わたしの悩みは
さらにひどくなり,』」
○
「おのれを閉ざす者」
(箴言18:1,2)
「おのれを閉ざす者は
自分の欲望のままに求め,
すべてのすぐれた知性と
仲たがいする。
愚かな者は英知を喜ばない。
ただ自分の意見だけを表わす。」
「おのれを閉ざす者」とは,
直訳すると
「自分を人から分離させる者」
となります。
「おのれを閉ざす者」は,
自己中心に陥り
他人の意見を聞こうとしません。
○
貧しい人に与えること
(箴言19:17)
「貧しい者をあわれむ者は
主に貸すのだ,
その施しは主が償われる。」
神からの報いは,
神からの愛であり,
私たちの人への愛です。
施しをする貧しい人々を
助けることは,
主に仕える一つの方法です。
そうする人に神は
報いてくださいます。
(詩編41:1)
「貧しい者をかえりみる人は
さいわいである。
主はそのような人を
悩みの日に救い出される。」
○
罪は清められる
(箴言20:9)
「だれが
『わたしは自分の心を清めた,
わたしの罪は清められた』
ということができようか。」
罪のない者はいないし,
自分で自分を救うことを
人はできません。
(ローマ3:9)
「すると,どうなるのか。
わたしたちには
何かまさったところがあるのか。
絶対にない。
ユダヤ人もギリシヤ人も,
ことごとく罪の下にあることを,
わたしたちはすでに指摘した。」
(1ヨハネ1:8,9)
「もし,罪がないと言うなら,
それは自分を欺くことであって,
真理は
わたしたちのうちにない。
もし,
わたしたちが
自分の罪を告白するならば,
神は真実で正しいかたであるから,
その罪をゆるし,
すべての不義から
わたしたちをきよめて下さる。」
○
正義と広義
(箴言21:3)
「正義と公平を行うことは,
犠牲にもまさって主に喜ばれる。」
正義と公平を行うことを
勧めています。
(ホセア6:6)
「わたしはいつくしみを喜び,
犠牲を喜ばない。
燔祭よりも
むしろ神を知ることを喜ぶ。」
(ヨハネ17:3)
「永遠の命とは,唯一の,
まことの神でいますあなたと,
また,あなたがつかわされた
イエス・キリストとを
知ることであります。」
○
恵む者
(箴言22:9)
「人を見て恵む者はめぐまれる,
自分のパンを
貧しい人に与えるからである。」
他の人々の必要や利益にも
気を配る人を神は祝福します。
(ピリピ2:3-5)
「何事も党派心や
虚栄からするのでなく,
へりくだった心をもって
互に人を
自分よりすぐれた者としなさい。
おのおの,
自分のことばかりでなく,
他人のことも考えなさい。
キリスト・イエスにあって
いだいているのと同じ思いを,
あなたがたの間でも
互に生かしなさい。」
○
「望みは断ち切られない」
(箴言23:17,18)
「あなたは心のうちで
罪人をねたんではならない。
ただ主をいつも恐れていよ。
確かに終わりがある。
あなたの望みは
断ち切られることはない。」
主を恐れる者は,終末の時は,
主からの報いがありますので,
望みを捨てては
いけないといいます。
○
正しいものは起き上がる
(箴言24:15,16)
「悪しき者がするように,
正しい者の家を
うかがってはならない,
その住む所に
乱暴をしてはならない。
正しい者は七たび倒れても,
また起きあがる,
しかし,
悪しき者は災によって滅びる。」
正しい者と悪しき者を
比べています。
(2コリント4:8,9)
「わたしたちは,
四方から患難を受けても窮しない。
途方にくれても行き詰まらない。
迫害に会っても見捨てられない。
倒されても滅びない。」
○
事を隠す
(箴言25:2)
「事を隠すのは神の誉であり,
事を窮めるのは王の誉である。」
神の定めたことは,
人間の限界ある知恵では
知り得ません。
(ローマ11:33)
「ああ深いかな,
神の知恵と知識との富は。
そのさばきは窮めがたく,
その道は測りがたい。」
○
知恵
(箴言26:12)
「自分の目に自らを
知恵ある者とする人を,
あなたは見るか,
彼よりもかえって
愚かな人に望みがある。」
知恵は聖霊が与えてくださいます。
(ヨハネ16:8-11)
「それがきたら,
罪と義とさばきとについて,
世の人の目を開くであろう。
罪についてと言ったのは,
彼らがわたしを
信じないからである。
義についてと言ったのは,
わたしが父のみもとに行き,
あなたがたは,
もはやわたしを
見なくなるからである。
さばきについてと言ったのは,
この世の君が
さばかれるからである。」
○
あすのことを誇るな
(箴言27:1)
「あすのことを誇るな。
一日のうちに何が起こるか,
あなたは知らないからだ。」
わたしたちは,
自分の未来を
知ることが出来ません。
ですから,すべてを主にゆだね,
主の導きに従う謙虚さが必要です。
自分の計画を
むやみに誇るなと言います。
(ルカ12:19,20)
「そして,
自分のたましいにこう言おう。
『たましいよ。
これから先何年分も
いっぱい物がためられた。
さあ,安心して,食べて,
飲んで,楽しめ。』
しかし神は彼に言われた。
『愚か者。
おまえのたましいは,
今夜おまえから取り去られる。
そうしたら,
おまえが用意した物は,
いったい
だれのものになるのか。』」
(ヤコブ4:13,14)
「聞きなさい。
『きょうか,あす,
これこれの町に行き,
そこに一年いて,
商売をして,もうけよう』
と言う人たち。
あなたがたには,
あすのことはわからないのです。
あなたがたのいのちは,
いったいどのようなものですか。
あなたがたは,
しばらくの間現れて,
それから消えてしまう
霧にすぎません。
むしろ,
あなたがたはこう言うべきです。
『主のみこころなら,
私たちは生きていて,
このことを,
または,あのことをしよう。』」
○
貧しい者に施す者
(箴言28;27)
「貧しい者に施す者は
物に不足しない,
目をおおって見ない人は
多くののろいをうける。」
(2コリント8:2)
「彼らは,
患難のために激しい試錬を
うけたが,
その満ちあふれる喜びは,
極度の貧しさにもかかわらず,
あふれ出て惜しみなく施す
富となったのである。」
○
幻
(箴言29:18)
「幻がなければ,
民はほしいままにふるまう。
しかし
律法を守る者は幸いである。」
幻は神を信じる者に
与えられた啓示です。
☆彡
(箴言29:28新共同訳)
「幻がなければ民は堕落する。
教えを守る者は幸いである。」
「幻(ビジョン)がないと国民は,
堕落してしまうといいます。
○
その名は何か
(箴言30:4)
「天にのぼったり,
下ったりしたのはだれか,
風をこぶしの中に
集めたのはだれか,
水を着物に包んだのはだれか,
地のすべての限界を
定めた者はだれか,
その名は何か,
その子の名は何か,
あなたは確かに
それを知っている。」
この言葉は,
ヨブ記38章に似ています。
天地を造り支配しているのは,
神であり神の子です。
(1ヨハネ5:20)
「神の子がきて,
真実なかたを知る知力を
わたしたちに
授けて下さったことも,
知っている。
そして,
わたしたちは,
真実なかたにおり,
御子イエス・キリストに
おるのである。
このかたは真実な神であり,
永遠のいのちである。」
○
酒を飲む
(箴言31:4,5)
「レムエルよ,
酒を飲むのは,
王のすることではない,
王のすることではない,
濃い酒を求めるのは
君たる者のすることではない。
彼らは酒を飲んで,
おきてを忘れ,
すべて悩む者の
さばきを曲げる。」
指導者に神が
求められるおきてです。
飲酒の害の戒めです。
2021-10-22