3.神の家 (ぶどうの木)
創世記28:10-22
(ヤコブの夢)
ヨハネ2:13-22
(神殿から商人を追い出す)
「この神殿を壊してみよ。
3日で建て直して見せる。」
(ヨハネ2:19)
(ヨハネ2:19-21)
「イエスは答えて言われた。
『この神殿を壊してみよ。
三日で建て直してみせる。』
それでユダヤ人たちは,
『この神殿は建てるのに
四十六年もかかったのに,
あなたは三日で建て直すのか』と言った。
イエスの言われる神殿とは,
御自分の体のことだったのである。」
Ⅰ
戦いに明け暮れたダビデ王は,
神様のお住まいを造ろうと考えました。
サムエル記には,そのダビデの思いが,
次のように記されています。
「王(ダビデ)は王宮に住むようになり,
主は周囲の敵をすべて退けて
彼に安らぎをお与えになった。
王は預言者ナタンに言った。
『見なさい。
わたしはレバノン杉の家に住んでいるが,
神の箱は
天幕を張った中に置いたままだ。』」
(サムエル記下7:1,2)
そこで,
神様の住まいである神殿を造ろうとします。
ところが,
神様はダビデが神殿を建てることを拒んで,
ダビデの子が建てるようになさいます。
それは,
まだ平和が確立していなかったからです。
○
(列王記上5:15-32)
(神殿建築の準備)
ダビデの子ソロモンは
神殿建築の準備をするに当たって,
隣国の王に使節を送り,
レバノン杉の切り出しや助力を願います。
その時,ソロモンは,
父のダビデではなく,
自分が神殿を建てることになった経緯を
次のように伝えます。
「ご存じのとおり,父ダビデは,
主が周囲の敵を彼の足の下に
置かれるまで
戦いに明け暮れ,
その神なる主の御名のために
神殿を建てることができませんでした。
今や,わたしの神,
主は周囲の者たちからわたしを守って,
安らぎを与えてくださり,
敵対する者も,
災いをもたらす者もいません。
ここに至ってわたしは,わたしの神,
主の御名のために
神殿を建てようと考えています。」
(列王記上5:17ー19)
戦いでは建物は破壊されますが,
平和が保たれれば建物が建てられます。
隣国との信頼関係が出来て,
平和が確保されて,
エルサレムの神殿も
建築出来るようになります。
○
(列王記上8:27-30)
(ソロモンの祈り)
ソロモン王は隣国の王の協力を得て,
契約を結び神殿の建築にかかり,
神様の御名のために神殿を完成させます。
その完成の祝いの中で,
ソロモン王は次のように祈ります。
「神は果たして
地上にお住まいになるでしょうか。
天も,天の天もあなたを
お納めすることができません。
わたしが建てたこの神殿など,
なおふさわしくありません。
わが神,主よ,
ただ僕の祈りと願いを顧みて,
今日僕が御前にささげる叫びと
祈りを聞き届けてください。
そして,夜も昼もこの神殿に,
この所に御目を注いでください。
ここはあなたが,
『わたしの名をとどめる』
と仰せになった所です。
この所に向かって僕がささげる祈りを
聞き届けてください。」
(列王記上8:27-30)
ソロモン王は,
神殿は神様がお住まいになる所ではなく,
神様と神様への祈りをする者を
結ぶ所だと理解しました。
Ⅱ
(創世記28:10-22)
(ヤコブの夢)
ソロモン王だけが
そのように理解しただけではありません。
ヤコブもそのように理解しました。
「彼(ヤコブ)は夢を見た。
先端が天まで達する階段が
地に向かて伸びており,
しかも,神の御使いたちが
それを上ったり下ったりしていた。」
(創世記28:12)
そして主が傍(かたわら)に立って,
ヤコブを決して見捨てないという
約束をしてくださいます。
眠りから覚めたヤコブは,
次のように言いました。
「まことに主がこの場所におられるのに,
わたしは知らなかった。」
「ここは,なんと畏れ多い場所だろう。
これはまさしく神の家である。
そうだ,ここは天の門だ。」
(創世記28:16,17)
天と地を結ぶ階段,
主なる神がおられる所,
そこは天と地を結ぶ門,
神の家です。
ヤコブも神の家を神様が,
お住まいになる所とは,
理解していないことがわかります。
神の家は,天と地を結ぶ階段,
梯子(はしご)です。
Ⅲ
(ヨハネ1:43-51)
(ナタナエル,弟子となる)
イエスさまは,
天と地を結ぶために来てくださいました。
イエスさまが天と地を結ぶ階段,
梯子です。
ナタナエルはイエスさまに答えます。
「あなたは神の子です。
あなたはイスラエルの王です。」
(ヨハネ1:49)
このとき,
イエスさまはナタナエルに答えられました。
「はっきり言っておく。
天が開け,
神の天使たちが人の子
(イエス・キリスト)の上に
昇り降りするのを,
あなたがたは見ることになる。」
(ヨハネ1:51)
天と地,神様と人々を結ぶ階段,
梯子として,
イエスさまは天から来てくださいました。
Ⅳ
(ヨハネ2:13-22)
(神殿から商人を追い出す)
今日の聖書箇所に,
次のようにあります。
「イエスは縄で鞭を作り,
羊や牛をすべて境内から追い出し,
両替人の金をまき散らし,
その台を倒し,
鳩を売る者たちに言われた。
『このような物はここから運び出せ。
わたしの父の家を
商売の家としてはならない。』」
(ヨハネ2:15,16)
神殿のいらない新しい時が始まります。
新しい時,主の日,神様のご支配,
神の国が近づいたので,
イエスさまは神殿から
商売をする人々を追い出されます。
もう神殿の境内で,供え物を買ったり,
両替をする必要はありません。
ユダヤ人たちは,イエスに言います。
「あなたは,こんなことをするからには,
どんなしるしを
わたしたちに見せるつもりか。」
(ヨハネ2:18)
イエスさまは,次のように答えます。
「この神殿を壊してみよ。
3日で建て直して見せる。」
(ヨハネ2:19)
イエスさまは,
天と地を結ぶ階段,梯子,神の家,
神のご支配をもたらす方,
神様と人々とを結ぶ主です。
その主が来てくださったから,
もう神殿はいりません。
イエスさまご自身が,
神殿として神様とわたしたちとを
結んでくださいます。
わたしたちの罪のために
十字架にかかり,
3日目によみがえられた
イエスさまがいてくださる所では,
どこでも神の家は備えられ,
礼拝を守ることが出来ます。
この恵みの時が来ました。
このしるしとして,
イエスさまはエルサレムの神殿の境内から
商人たちを追い出されました。
この恵みの時にある者として,
平和を祈り,
平和をつくり出していきましょう。
(2003年3月22日)
松隈 貞夫 牧師