2024.8.25 伝道の書
○
「空の空」
(伝道1:2) 新改訳
「空の空。
伝道者は言う。
空の空。
すべては空。」
箴言は「もし神がいなかったら」から,
出発して
「神を恐れよ」と答えを出しています。
どのような知識を持っていても,
この世の知識だけなら,
神の愛も贖いも,永遠のいのちも,
希望も見出すことが出来ません。
ただむなしさだけがあります。
☆彡
(伝道1:1,2)新改訳
「エルサレムでの王,
ダビデの子,
伝道者のことば。
空の空。
伝道者は言う。
空の空。
すべては空。」
(伝道1:1,2)新共同訳
「エルサレムの王,
ダビデの子,
コヘレトの言葉。
コヘレトは言う。
なんという空しさ
なんという空しさ,
すべては空しい。」
○
もの憂い
(伝道1:8)新共同訳
「何もかも,もの憂い。
語り尽くすこともできず
目は見飽きることなく
耳は聞いても満たされない。」
人生において
すべては「もの憂い」のであって,
真の満足はありません。
○
知恵と知識
(伝道1:18)新共同訳
「知恵が深まれば悩みも深まり
知識が増せば痛みも増す。」
「知恵が深まれば」,
人生の問題点や矛盾が
一層よくわかるようになり,
「悩み」と「知識」を増すだけであった。
○
飲み食いと労苦
(伝道2:24)新共同訳
「人間にとって最も良いのは,
飲み食いし
自分の労苦によって
魂を満足させること。
しかしそれも,
わたしの見たところでは
神の手からいただくもの。」
神は,私たちに飲み食い,
労苦の満足を与えてくださいます。
☆彡
(伝道2:24-26)
「人には,
食べたり飲んだりし,
自分の労苦に
満足を見いだすよりほかに,
何も良いことがない。
これもまた,
神の御手によることがわかった。
実に,
神から離れて,
だれが食べ,
だれが楽しむことができようか。
なぜなら,
神は,みこころにかなう人には,
知恵と知識と喜びを与え,
罪人には,
神のみこころにかなう者に渡すために,
集め,
たくわえる仕事を与えられる。
これもまた,
むなしく,風を追うようなものだ。」
伝道者の悟りです。
人は神から人生を与えられています。
人生は楽しみながら過ごすべきです。
人生を神から離れて楽しむことは,
空(むな)しいものです。
(1テモテ6:17)
「この世で富んでいる人たちに
命じなさい。
高ぶらないように。
また,たよりにならない富に
望みを置かないように。
むしろ,
私たちにすべての物を豊かに与えて
楽しませてくださる神に
望みを置くように。」
○
神の時は美しい
(伝道3:1)新共同訳
「何事にも時があり
天の下の出来事には
すべて定められた時がある。」
「時」は,謎です。
「時」は,定められた時を意味しています。
これらの時はすべて神が定めています。
☆彡
(伝道3:1)新改訳
「天が下のすべての事には季節があり,
すべてのわざには時がある。」
○
永遠を思う心
(伝道3:11)新共同訳
「神はすべてを時宜にかなうように造り,
また,永遠を思う心を人に与えられる。
それでもなお,
神のなさる業を
始めから終りまで見極めることは
許されていない。」
わたしたちには「永遠」の思いが,
与えられています。
神を恐(畏)れないといけません。
「永遠」は,
わたしたちに救いを指し示します。
(ローマ8:28)
「神を愛する人々,
すなわち,
神のご計画に従って召された
人々のためには,
神がすべてのことを
働かせて益としてくださることを,
私たちは知っています。」
(ヨハネ3:16)
「神はそのひとり子を
賜わったほどに,
この世を愛して下さった。
それは御子を信じる者が
ひとりも滅びないで,
永遠の命を得るためである。」
☆彡
(伝道3:11)新改訳
「神のなさることは,
すべて時にかなって美しい。
神はまた,
人の心に永遠を与えられた。
しかし人は,
神が行われるみわざを,
初めから終わりまで
見きわめることができない。」
(伝道3:11)口語訳
「神のなされることは
皆その時にかなって美しい。
神はまた人の心に
永遠を思う思いを授けられた。
それでもなお,
人は神のなされるわざを
初めから終りまで
見きわめることはできない。」
○
永遠の神の業
(伝道3:14)新共同訳
「わたしは知った
すべて神の業は永遠に不変であり
付け加えることも
除くことも許されない,と。
神は人間が神を
畏れ敬うように定められた。」
人間の行うわざは一時的であり,
変りやすいが,
「神の業は永遠に不変である」ので,
神に信頼を置くことが必要であります。
「神は人間が
神を畏れ敬うように定められた」
とは,
恐怖心をもって神を見ることではなく,
神を尊敬し,
神に服従することを意味しています。
○
憩いと労苦
(伝道4:6)新共同訳
「片手を満たして,
憩いを得るのは
両手を満たして,
なお労苦するよりも良い。
それは風を追うようなことだ。」
「片手」けで「憩いを得る」があるほうが,
あくせく
「両手を満たして,
なお労苦するよりも良い」
といいます。
○
ふたりが良い
(伝道4:9,10)新共同訳
「ひとりよりもふたりが良い。
共に労苦すれば,
その報いは良い。
倒れれば,
ひとりがその友を助け起こす。
倒れても起こしてくれる
友のない人は不幸だ。」
三つ撚りの糸は簡単には切れない
孤独でいるよりは,
仲間や友達といるほうが良い。
互いが助け合うことが
出来るからである。
三つ撚りの糸は仲間と
神です。
「三つ撚りの糸」は,
三位一体の神とも考えられます。
イエス・キリストは,
次のように言いました。
(ヨハネ13:34)
「あなたがたに
新しい戒めを与えましょう。
あなたがたは互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように,
そのように,
あなたがたも互いに愛し合いなさい。」
☆彡
(伝道4:9-12)
「ふたりはひとりよりもまさっている。
ふたりが労苦すれば,
良い報いがあるからだ。
どちらかが倒れるとき,
ひとりがその仲間を起こす。
倒れても起こす者のいない
ひとりぼっちの人はかわいそうだ。
また,ふたりがいっしょに
寝ると暖かいが,
ひとりでは,
どうして暖かくなろう。
もしひとりなら,
打ち負かされても,
ふたりなら立ち向かえる。
三つ撚りの糸は簡単には切れない。」
○
国の利益
(伝道5:8,9)新改訳
「ある州で,
貧しい者がしいたげられ,
権利と正義がかすめられるのを見ても,
そのことに驚いてはならない。
その上役には,
それを見張るもうひとりの上役がおり,
彼らよりももっと高い者たちもいる。
何にもまして,
国の利益は農地を耕させる王である。」
国の政治では,
貧しいものは虐げられる
国の利益は農業によるといいます。
○
金銭を愛する者
(伝道5:10,11)新改訳
「金銭を愛する者は金銭に満足しない。
富を愛する者は収益に満足しない。
これもまた,むなしい。
財産がふえると,寄食者もふえる。
持ち主にとって何の益になろう。
彼はそれを目で見るだけだ。」
富は人間の欲望を満足させません。
収入が増えると支出も増えて,
本人のためになりません。
○
飲み食いし,労苦する
(伝道5:17)新共同訳
「見よ,
わたしの見たことはこうだ。
神に与えられた短い人生の日々に,
飲み食いし,
太陽の下で労苦した結果の
すべてに満足することこそ,
幸福で良いことだ。
それが人の受けるべき分だ。」
飲み食いと労苦し
満足することが幸福です。
☆彡
(伝道5:16-19)新共同訳
「その一生の間,
食べることさえ闇の中。
悩み,患い,怒りは尽きない。
見よ,わたしの見たことはこうだ。
神に与えられた短い人生の日々に,
飲み食いし,
太陽の下で労苦した結果の
すべてに満足することこそ,
幸福で良いことだ。
それが人の受けるべき分だ。
神から富や財宝をいただいた人は皆,
それを享受し,
自らの分をわきまえ,
その労苦の結果を
楽しむように定められている。
これは神の賜物なのだ。
彼はその人生の日々を
あまり思い返すこともない。
神がその心に喜びを
与えられるのだから。」
神はわたしたちに,
いのちをあたえ ,
富と喜びを与えて下さっています。
(マタイ6:34)
「だから,
あすのことを思いわずらうな。
あすのことは,
あす自身が思いわずらうであろう。
一日の苦労は,
その日一日だけで十分である。」
(ピリピ4:12)
「わたしは貧に処する道を知っており,
富におる道も知っている。
わたしは,
飽くことにも飢えることにも,
富むことにも乏しいことにも,
ありとあらゆる境遇に処する
秘けつを心得ている。」
○
幸福
(伝道6:6)新共同訳
「たとえ,
千年の長寿を二度繰り返したとしても,
幸福でなかったなら,何になろう。
すべてのものは
同じひとつの所に行くのだから。」
どんなに長寿の人も死産の子も,
最後には〈同じ所〉である死に行くのだから
(参照3:20),
この世に生命を与えられた人は
「幸福」を味わわなければ,
生きている価値はないといいます。
○
欲望
(伝道6:9)新共同訳
「欲望が行きすぎるよりも
目の前に見えているものが良い。
これまた空しく,
風を追うようなことだ。」
心の欲望より,現実が良いが,
これも空しいといいます。
○
順境と逆境
(伝道7:13,14)新共同訳
「神の御業を見よ。
神が曲げたものを,
誰が直しえようか。
順境には楽しめ,
逆境にはこう考えよ
人が未来について
無知であるようにと
神はこの両者を
併せ造られた,と。」
順調のときは楽しみ
逆境のときは,
人が無知であることを
知れといいます。
○
神のすべての業
(伝道8:16,17)新共同訳
「わたしは知恵を深めて
この地上に起こることを
見極めようと心を尽くし,
昼も夜も眠らずに努め,
観察した。
まことに,
太陽の下に起こる
すべてのことを悟ることは,
人間にはできない。
人間がどんなに
労苦し追求しても,
悟ることはできず,
賢者がそれを
知ったと言おうとも,
彼も悟ってはいない。」
神のみわざは,
見極められないと言います。
☆彡
(伝道8:16,17)新改訳
「私は一心に知恵を知り,
昼も夜も眠らずに,
地上で行なわれる人の仕事を
見ようとしたとき,
すべては
神のみわざであることがわかった。
人は日の下で行なわれる
みわざを見きわめることはできない。
人は労苦して捜し求めても,
見いだすことはない。
知恵ある者が知っていると思っても,
見きわめることはできない。」
著者すなわち伝道者,
ダビデの子のソロモンは
「昼も夜も眠らず」
一心に人の仕事を
「知恵」をもって探究しました。
(参照 伝道1:13)
その結果,著者が発見したことは,
「すべては神のみわざ」でした。
人間は
「(神の)みわざを
見きわめることはできない」
ということでありました。
神は無限であり,
計画は偉大です。
そして,
人間の知識は有限です。
パウロは,次のように言います。
(ローマ11:33)
「ああ,
神の知恵と知識との富は,
何と底知れず深いことでしょう。
そのさばきは,
何と知り尽くしがたく,
その道は,
何と測り知りがたいことでしょう。」
○
知恵と罪人
(伝道9:17,18)新改訳
「知恵ある者の静かなことばは,
愚かな者の間の支配者の叫びよりは,
よく聞かれる。
知恵は武器にまさり,
ひとりの罪人は
多くの良いことを打ちこわす。」
ここで2つの箴言を用いて
知恵について語っています。
「知恵」は,
たとい「静かなことば」
をもって語られても,
愚かな支配者の大きな叫びよりも
価値があるといいます。
「知恵は武器にまさり」
と知恵の効用をたたえています。
「ひとりの」愚かな
「罪人」の存在によって,
「良いこと」がむなしくなる場合も
あるといいます。
○
僅かな愚行
(伝道10:1)新共同訳
「死んだ蠅は
香料作りの香油を腐らせ,
臭くする。
僅かな愚行は
知恵や名誉より高くつく。」
私たちは自分が
賢いものと思うことがありますが,
誤りです。
☆彡
(伝道10:1)新改訳
「死んだはえは,
香料を造る者の,
あぶらを臭くし,
少しの愚痴は
知恵と誉よりも重い。」
○
なまった斧
(伝道10:10)新共同訳
「なまった斧を研いでおけば
力が要らない。
知恵を備えておけば利益がある。
斧を研ぐと,
余計な労力がいらなくなります。
同じように
知恵を用いれば
効率があります。
○
パンを水に流す
(伝道11:1)新共同訳
「あなたのパンを
水に浮かべて流すがよい。
月日がたってから,
それを見いだすだろう。」
主への働きは,
無駄になると思えるものもあるが,
労苦を惜しんではいけない。
神は,必ず報いてくださるといいます。
☆彡
パンを水の上に投げよ
(伝道11:1-4)
「あなたのパンを水の上に投げよ。
ずっと後の日になって,
あなたはそれを見いだそう。
あなたの受ける分を
七人か八人に分けておけ。
地上でどんなわざわいが起こるか
あなたは知らないのだから。
雲が雨で満ちると,
それは地上に降り注ぐ。
木が南風や北風で倒されると,
その木は倒れた場所にそのままにある。
風を警戒している人は種を蒔かない。
雲を見ている者は刈り入れをしない。」
パウロは次のように言います。
(ガラテヤ6:7-9)
「思い違いをしてはいけません。
神は侮られるような方ではありません。
人は種を蒔けば,
その刈り取りもすることになります。
自分の肉のために蒔く者は,
肉から滅びを刈り取り,
御霊のために蒔く者は,
御霊から永遠のいのちを刈り取るのです。
善を行うのに飽いてはいけません。
失望せずにいれば,時期が来て,
刈り取ることになります。」
○
朝,種を蒔け
(伝道11:6)新共同訳
「朝,種を蒔け,
夜にも手を休めるな。
実を結ぶのはあれかこれか
それとも両方なのか,
分からないのだから。」
自然はすべて神の支配の
御手の中にあるのだから,
人間に残されているのは,
朝から夜まで,
休まず勤勉に種を蒔くことです。
数多く蒔けば,
その中のどれかが実ります。
現在精一杯生きることが大切です。
○
創造者を覚えよ
(伝道12:1)新改訳
「あなたの若い日に,
あなたの創造者を覚えよ。
わざわいの日が来ないうちに,
また『何の喜びもない。』と
言う年月が近づく前に。」
「覚えよ」とは,思い浮かべよ,
心に留めよ,顧みよと言う意味です。
人格的な交わりを持つことです。
「あなたの創造者を覚えよ」とは,
創造者を心に留め,たえず思い,
神との交わりの内に
生きよとの勧めです。
このことが,
「空の空」を解決する唯一の方法です。
それは,天地を造られた神を信じ,
神とともに歩み,
神のために生きる道です。
創造者を信じることに,
遅すぎることはありません。
今,信じていることが大切です。
☆彡
創造主に心を留めよ
(伝道12:1)新共同訳
「青春の日々にこそ,
お前の創造主に心を留めよ。
苦しみの日々が来ないうちに。
『年を重ねることに喜びはない』と
言う年齢にならないうちに。」
○
神を恐れよ。神の命令を守れ。
(伝道12:13,14)
「結局のところ
もうすべてが聞かされていることだ。
神を恐れよ。
神の命令を守れ。
これが人間にとってすべてである。
神は,善であれ悪であれ,
すべての隠れたことについて,
すべてのわざをさばかれるからだ。」
「神を恐れる」とは,神を神として,
恐れかしこむことです。
「伝道の書」の結論です。
さばきとは,この世の終わりにおいて,
神がキリストを信じる者と
信じない者とを区別し,
信じる者には永遠の祝福を,
信じない者には永遠の滅びを与えます。
☆彡
(伝道12:13,14)新共同訳
「すべてに耳を傾けて得た結論。
『神を神を畏れ,その戒めを守れ。』
これこそ,人間のすべて。
神は,善をも悪をも
神は,善をも悪をも
一切の業を,隠れたこともすべて
裁きの座に引き出されるであろう。」
○
新約聖書では,
イエス・キリストが
次のように言っています。
(マタイ25:31-34)
「人の子が,
その栄光を帯びて,
すべての御使いたちを伴って来るとき,
人の子はその栄光の位に着きます。
そして,すべての国々の民が,
その御前に集められます。
彼は,
羊飼いが羊と山羊とを分けるように,
彼らをより分け,
羊を自分の右に,
山羊を左に置きます。
そうして,
王は,その右にいる者たちに言います。
『さあ,
わたしの父に祝福された人たち。
世の初めから,
あなたがたのために備えられた
御国を継ぎなさい。』」
☆
ヨハネは,イエスが来たのは,
世を救うためだと言います。
(ヨハネ3:17,18)
「神が御子を世に遣わされたのは,
世をさばくためではなく,
御子によって世が救われるためである。
御子を信じる者はさばかれない。
信じない者は神のひとり子の御名を
信じなかったので,
すでにさばかれている。」