送り手は、何かを伝える、あるいは表現しようとするとき、記号を用います。記号とは、言語をはじめとする意味作用を伴う文字や符号のこと。殊、記号については、記号学や記号論(ふたつは異なります)といった奥深い研究領域がありますので、一旦ここでは横に置いておきます。この記号化するちからって、そのひとのDNAやら生きてきた経験知やら、持てる情報や感覚をすべて活用して生まれ、メッセージとなっています。(図を再掲しておきます。思考のプロセス、感情、行為の能力を背景にした記号化という部分です)
この世に、誰一人として同じ情報の量や質、感覚を持つ人など存在しません。その送り手だけです。一方、受け手もまたその人自身の持てるちからで受け取ったメッセージを解釈します。異なる知識を背骨にして、会話や対話をしているわけですから、むしろスムーズにいく方が珍しいことも、モデルから読み取れます。
E.M.ロジャースは、コミュニケーションによって生まれるふたりの人間の相互理解を、マ〇〇―カードのシンボルマーク[i]と同じ図で表しました。ふたつのサークルがわずかに交じり合う。その交差ゾーンが、理解あるいは共有を表します。
「自分のことをわかってもらえない」と嘆く女性が居ました。このモデルから考えると、「そりゃあ、そうだろうねぇ」となります。共有ゾーンをいかに広げるか、というお話になりますから、9つの要素をいかにデザインしていくか。腕の見せ所、愉しい課題になります。
参考図書
Rogers, E. M. 『Communication technology: The new media in society.』New York, NY: Free Press.1986.
安田寿明訳『コミュニケーションの科学―マルチメディア社会の基礎理論』共立出版, 1992年。
[i] ロゴマークが開発されたのは、1968年。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます