カウンター席が広がるのを正面に見て左側の2席しかないテーブル席へ。なんだか微妙な厳格さが漂います。それは決まり事の張り紙の多さで分かります。「ご飯のお代わりは1杯は無料。ただしフライ物が(おかずがという意味らしい)残っている場合じゃないとだめ」とか「ご飯のお代わりは他人にあげちゃだめ」とか、まあいろいろと貼ってあるわけです。
おそるおそるとんかつ定食を注文。すると厳格そうなオヤジが「ご飯にカレーかける?」とぶっきらぼうな質問。「・・・・・・・カレー??」よく意味が分からず「あああ・・・いりません」と返答。隣の席に学生さんらしい3人組みが入ってきてとんかつ定食を注文。オヤジに聞かれる前に「カレーたっぷりね」。張り紙を見渡してもご飯にカレーをかけるなどという情報はどこにもない。うーーん、奥が深いルールがあるのかこの店は。
しばらくして出てきたとんかつは画像のとおり。価格を考えたら肉はやわらかく十分美味しかった。他の客がみんなカレーをかけているのでご飯のお代わりはカレーをかけてもらった。すごい美味いカレーなのかと思ったらこれはレトルトとみた(レトルトじゃなかったらごめんなさい)。
お茶の水とかにあるとぴったり嵌る昔ながらの定食屋ってな風情です。店のオヤジが厳しいながらもいい人で、顔見知りになるとおばちゃんがこっそりアジフライなんか付けてくれる、貧乏学生の味方なんて感じの(あくまでもイメージですが)お店です。僕のようなおじさんが訪問するなら10年ぶりくらいに来て「学生時代にお世話になったなあ」などと天井を見上げて思い出に浸る、そんな風景が合っているノスタルジックなお店だったのです。
なるほど、何となく感じた違和感の理由が分かりました。僕はこの店に学生時代にも新入社員時代にも何かの思い出があるわけじゃない。僕みたいないいおっさんが一見(いちげん)で来るところじゃなかったようです。まわりの客は近所の専門学校の学生風の人ばかり。これからもずっと営業していただいて学生さんの味方でいて欲しいと願っています。彼らが社会に出た後も時々戻って来てオヤジに怒鳴られる。そんなお店でいてください。
さくら亭
最寄駅:渋谷
料理:とんかつ / 定食・食堂
採点:★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:リーズナブルに飯を食う
さくら亭 (さくらてい) (とんかつ / 渋谷)
★★★☆☆ 3.0