〜あらすじ〜
ひょんなことから異世界へと迷い込んだ畑崎とその部活仲間の建樹(けんき)、
華日(はなか)、鈴望(れみ)。
4人はその世界で、「幸界」を目指すレース、「冬烈火」に参加することになる。
ゆく道で男4人組から戦闘を仕掛けられるが、これはなんなく撃退する。勢いに乗った4人は森へと入っていく…。
森の中は薄暗く、足場も悪い。動物たちの声も聞こえず、不気味な静けさに包まれていた。これは進むのが大変そうだ。
「思った以上に森だなぁ。」建樹が言う。
「私たちなら大丈夫だって!」華日がとっさに言った。他の人達は見当たらない。どうやら森は避けたようだ。この深さでは避けるのも無理はない。
「やっぱり暗いね。明かりがあればいいのになぁ。」鈴望が呟く。
「明かりならあるよ。」華日が答えた。と、
「陽戒 星華(ほしばな)」
とたんにぱっと明るくなった。華日が白く光る玉を浮かべている。
「これで明るくなったね。さあ、行こうか!」華日が得意げに笑う。
「華日すげぇ!」俺は思わず関心して言った。と、同時に少し落胆した。やっぱり俺以外みんな戒使えるじゃねぇか。
明かりも手に入り、4人はペースを上げて森の中を進んでいった。
「ふう〜疲れたぁ。」4人は大きな栗の木の下で休んでいた。もうすぐ日が沈みそうだ。どうやらこの森の中で1晩過ごすしかないようだ。
「とりあえず明かりはあるとして、安全に眠りたいよな。どうしようか。」建樹が言う。
「焚き火かなんかする?」華日が笑う。
「普通にそれでよくね?」俺は言った。
「私もいいと思う。」鈴望も賛成してくれた。俺たちは何か焚き火になりそうなものを集めてきた。集めるのに苦労はしなかった。集めてきたものに華日の戒で火と明かりをつけて焚き火を作った。
俺たちは焚き火にあたりながらいろんな話をした。いつだって仲間との話は楽しいものだ。
と、しばらくして、俺は何か気配を感じた。少し嫌な感じだ。
「ねえ、何か聞こえない?」鈴望も気がついたようだ。
「本当だ、聞こえるぞ。」建樹も顔をしかめる。
「危ない!後ろだ!」俺は叫んだ。そこにいたのは見た事のない生き物だった。目を赤く光らせ、犬のような見た目をしているが、その体は黒く、毛は逆立っている。
「こいつが魔物か。」
俺は言った。
続く…。
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