霊的聖体拝領というおおいに優れた方法について
(ポルト・マウリツィオの聖レオナルド司祭の解説)
霊的聖体拝領は、ミサにおいても、ミサ外においてもなされる恩寵の流れである。このため霊的聖体拝領について、聖なるトリエント公会議の教えを知らなければなりません。
公会議は、聖なる祭壇の秘跡の拝領には、3通りある、と教えています。
第1は、単に秘跡的な拝領、
第2は、霊的な拝領、
第3は、秘跡的かつ霊的な拝領です。
ここでは、第1の、単に秘跡的な拝領の仕方については、
特に、話しません。
また、第3の拝領の仕方、つまり、実際に秘跡的に拝領し、
しかも成聖の恩寵の状態でそうする人々の場合についても、話しません。
ここでは第2の拝領の仕方、
霊的な聖体拝領の方法についてお話します。
霊的聖体拝領とは、
聖なる公会議が述べているとおり、
『主の御体を、秘跡的に拝領できないために、
生き生きとした信仰と、燃え上がる愛の業のうちに、
最高善である神に一致したい、との限りない望みを込めて、
霊的に、主の御体を受けて、こうすることにより、自身に、
この神聖な秘跡の実りを受けられるようにする人々』に、
固有な拝領方法です。
この大いに優れた方法を容易にするために、
これから述べることを熟慮してください。
司祭が、ミサ聖祭の中で、聖体拝領しようとする時、
あなたは、内的にも、外的にも、自分を整えて、
こころの中で、真の痛悔の行ないをして、
これほどまでに偉大な恩寵に、
自分がふさわしくないことを認める「しるし」として、
謙遜のうちに、拳で胸を打ちなさい。
そして、秘跡的な聖体拝領をする時にしている、
愛と委託と謙遜、その他あらゆる準備の祈りを捧げなさい。
次いで、あなたの善のために、秘跡のうちに隠れておられる、
善いイエスをお受けしたい、との強い憧れを抱き、こころから
それを望みなさい。
さらに、あなたの敬虔を燃え上がらせるために、
最も聖なるおとめマリアが、
もしくは、あなたの聖なる天上の保護者が、
聖体の秘跡をあなたに差し出しておられる場面を想像しなさい。
霊的に、主イエスの御体を受けて、
こころにイエスを抱擁したいと考えて、
愛に促された内的なコトバで、
繰り返し繰り返し、イエスに申し上げなさい。
『イエスよ、私の最愛の御方よ、おいでください。
この貧しいこころの中においでになり、
私の望みを満たしてください。
おいでになり、私の霊魂を聖なるものとしてください。
最も甘美なイエスよ、おいでください』
このように申し上げたなら、
あとは黙りなさい。
あなたのうちに来られた善良な神を観想しなさい。
そして、実際に聖体拝領をしたかのように、
深くへりくだりつつ主を礼拝し、
主にこころからの感謝を捧げ、
秘跡的な聖体拝領後にあなたがしている全ての内的行為を、
拝領後の感謝の祈りをお捧げしなさい。
現代のキリスト者のうちで、
ほとんど実行されていない、この祝福された聖なる霊的聖体拝領は、
数々の恩寵で、霊魂を満たし得る、天上の宝であることを知りなさい。
ある霊的著者は言っています。
『霊的聖体拝領は、非常に有益であり、
秘跡的聖体拝領と、同じ恩寵を生じさせることができます。
いいえ、ある場合には、もっと多くの恩寵をもたらしうるのです。
というのも、聖体を実際に受ける秘跡的拝領は、
秘跡であるため、事効的な効力ex opera operatoを持っているので、
それ自身の本性から、より高次の結果を生むことができるのですが、
それにもかかわらず、ある霊魂が、非常に深い謙遜、愛、敬虔を込めて、
霊的聖体拝領するならば、他の霊魂が、秘跡的であっても、十分な心構
えもないまま聖体拝領する場合よりも、もっと多くの恩寵を獲得すること
ができるのは、当然可能なことだからです』
私たちの救い主イエスは、
この霊的聖体拝領に、深いご好意をお示しになり、
数々の機会に、ご自分のしもべたちの敬虔な望みに、
驚くべき奇跡をもって、喜んでお応えになられたのです。
ある時には、ご自分の御手をもって、彼らに聖体を拝領させました。
そのようなことが、モンテファルコの福者クララ、シエナの聖女カタリナ、
聖女リドヴィナらに起こりました。
ある時には、天使たちを介して、彼らに聖体を拝領させました。
熾天使的博士Doctor Seraphicusと呼ばれる聖ボナヴェントゥラ司教、
聖オノラート司教、聖フィルミノ司教らになされました。
ある時には、祝福された偉大な神の御母によって、聖体を拝領させました。
聖母はご自分の御手から、福者シルヴェステルに、聖体を拝領させました。
この神秘に満ちた愛を、疑うようなことがあってはなりません。
なぜなら、霊的聖体拝領は、
霊魂を、神の愛で燃え上がらせ、神と一致させ、
最も著しい恩寵を受けられるよう、
霊魂を準備させるものだからです。
さらに霊的聖体拝領には、
秘跡的聖体拝領にまさる1つの利点があります。
秘跡的聖体拝領は、毎日ただ1度しかできませんが、
霊的聖体拝領は、ミサにあずかる度ごとにできるのです。
いいえ、ミサ以外の時にも、
朝・昼・晩に、いつでも、
教会の中で、あるいは自宅で、どこでも、
繰り返すことができるのです。
しかも、これは、
あなたの聴罪司祭の許可を求める必要もなく、行なえるのです。
要するに、
これまで述べた、準備と望みと感謝を実行する回数だけ、
霊的聖体拝領することができます。
その結果、
あらゆる種類の、あらゆる段階の、
卓越した恩寵と功徳で、あなたの霊魂は豊かにされるのです。
私の望みは、
毎日ミサ聖祭に、最も信心深く、敬虔にあずかる習慣が、
カトリックの世界に導入されることと、
『ミサにあずかる度ごとに、霊的聖体拝領をしよう』との聖なる望みを、
このことを知る全ての人のこころに植え付けることです。
もしもあなたが、秘跡的に聖体を拝領するのにふさわしくなければ、
少なくとも毎日ミサ聖祭にあずかり、
毎日、霊的に聖体を拝領しなさい。
霊的聖体拝領とは、
聖体のイエスの聖心の燃える愛を、
至聖なる御体を、最も尊い御血を、
最も崇高な御霊魂を、至高の神性を、
霊的に、拝領することです。
聖体の拝領方法には、
そもそも秘跡的な拝領と、霊的な拝領があります。
霊的聖体拝領の方法を知る人は、
聖霊に息吹かれています。
秘跡的聖体拝領ができない信者の中で、
信仰と希望と愛に息吹かれた霊的聖体拝領の実践が行なわれます。
肉体的準備がととのわない~1時間以内に飲食をした~ケースや、
ミサに遅刻して、感謝の賛歌のあと、聖堂に入ったら、すでに聖変化、というケースは、
霊的聖体拝領がなされるべきです。
秘跡的拝領のためには、ふさわしい準備が欠けており、
教会が定めた条件を、明らかに満たしていないからです。
大罪の秘跡的赦免を個別に受けていないケースに関しては、
霊的聖体拝領ができる場合と、そうでない場合があります。
そうでない場合とは、大罪を痛悔する気持ちさえない場合です。
そもそも、そのような人は、霊的聖体拝領というものを知りません。
みずから恩恵を遮っているので、そういった発想も望みさえも起こらないからです。
「いかなる罪も、痛悔がないままで赦されることはない。
大罪は、秘跡によらなければ、
また、望みの秘跡(完全な痛悔)によらなければ赦されない」(Denzinger : 796,895)
「現実的大罪は、聖徳を意味する『痛悔』のないままに赦される、ということは
不可能です。
通常、罪の赦しは、
告解の秘跡において、結び付けたり解いたりする、司祭の職務により、全うされます。
ただ、キリストが、姦婦や罪女をお赦しになられたように、
神は、秘跡によることなく、罪を赦すことがおできになります。
むろんキリストは、痛悔の聖徳が彼らになければ、
これらをお赦しにはなりませんでした。
秘跡という薬剤は、
実際に施用された場合に限らず、
これにあずかる決意がなされただけでも、効果があるのです。
それゆえ、傷(罪)の治癒(霊的救い)が、
秘跡による個別的赦免に先んずることが、しばしばあるのです」
(聖トマス・アクイナス司祭教会博士)
霊的聖体拝領ができる場合とは、
大罪の秘跡的赦免を個別に受けていないケースでありながらも、
犯した大罪をこころから痛悔していて(完全な痛悔)、赦しの秘跡を受ける望みをもち、
愛のうちに働く、生きた信仰に満たされて、
主イエスの至聖なる御体と最も尊い御血を、
霊的にでも受けたい、との望みを抱く場合です。
「この霊的聖体拝領によって、
彼らは秘跡の効果を確実に受けているのです」(トリエント公会議 8)
秘跡的聖体拝領ができない人々に対しては、
霊的聖体拝領の行為を通して、
聖体のイエスの聖心が、神秘的な方法で、
その人々に、ご自身をお与えくださるのです。
実に、その人々は、神秘的な方法で、
主イエスの御体を食べ、
その御血を飲ませていただくのです。
聖体のイエスの聖心の燃える愛が、
それを行なうのです。
素晴らしい至聖なるエウカリスツィアの秘跡は、
世々にたたえられますように!
聖体のイエスの聖心よ、全世界があなたの愛で燃えますように!
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第1部 信経
第2部 秘跡
ーいじょうー
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