かわいそうな蝶のそれから・・・
『はじめ明治の祖母の蝶の髪飾りを作り、母がブローチに仕立て直し、今度受け継いだ蝶のブローチなんです。
数個の石がなくなっているので入れて欲しい』・・・とお客様
手の込んだアンティーク、蝶の体・触角・羽根の裏が金地金・・つまり羽根は金と銀の張り合わせ板で作られて、
ダイヤは今のような綺麗な丸でなく手で磨ってたであろう何となく丸・・・大きさもバラバラ・・・
でも、全体の形は精巧に出来てるんです。明治の飾り職恐るべしです。
こんな凄い蝶も長い年月の間に、これだけのダイヤも数個緩み・外れる事もあり、
お客様から『外れ入れて、緩みおさえて、他も〔緩みないか〕見ておいて・・・』となったと思います。
ところが台無しなのが・・・入れる所が判らなくなったのか、いい加減に適当に接着剤で留めちゃってた事。
・・・・その接着剤で留まってたダイヤも数個外れ、着けれないとの事でKatzeにお持ちになりました。
お預かり時、無くなってる石だけ入れて欲しい・・・が、他も軽く弾けばポロッと外れちゃうんですね。
頭の隅“ドツボにハマる”予感を実感した瞬間でした。
毒を食らわば皿まで??むしろやけくそ??全部ダイヤ外しちゃう。。。
・・・・やってしまった・・・・
多くの爪が無い・・穴だけ・・石を接着するのに爪は邪魔ってことで削っちゃったんですかね。
ま、、気長にダイヤパズルの配置直しの石合わせ、そして留めるため周りの地金から爪を作ったり立てたり・・・
考えるだけで気が遠くなりますが、1歩づつ・・・
・・・石の高さ向きを気にしつつ何とか出来上がりました。
何分、リアルアンティーク。。。
せっかく良い雰囲気をピカピカ磨くとこれまでの時間を消してしまいそうで、あえて磨きませんでした。
シルバーのいぶし処理も考えたんだけど、自然な銀の変色を期待してそのままおいておきました。
このブローチはこれからのお客様との時間がシルバーを色付けして益々魅力的になるでしょう。
大変でしたが勉強にもなりありがとうございました。
Katze Craft-F オフィシャルページ