昨日の記事でも書いたが、研修会で熊本を訪れた際、市内の路肩や道路法面や中央分離帯など、あちこちでセイバンモロコシ(*1)が自生しているのを目にした。
関西では見慣れない光景で、不思議に思っていたのだが、研修会を終えて熊本駅へ向かう途中、緑川河川敷を通りかかった時に思わず「何これ!?」と声が出てしまった。
河川敷一面、セイバンモロコシの赤い穂がびっしり。
よく見ると、株がきれいに列を作っていて、自生ではなく栽培されている様子。
しかも場所によっては1/3くらいの面積がトラクターで刈り取られて、パッキングされた固まりがいくつも作られ、まさに収穫の真っ最中という様子だった。
それでか!と、朝に見た街中のセイバンモロコシの大増殖の原因に思い当たった。
緑川河川敷(確認しただけでも数カ所あった)のセイバンモロコシ畑が種子供給源になって、市内のあちこちに広がっているに違いない。
セイバンモロコシは繁殖力が強く、オギやススキと競合する。
オギやススキに比べて花期が長く(6-10月)、刈り取りにも強い。
栽培品種のSorghm属とも交雑しやすいため、強害雑草とされている。
広い河川敷に一面の真っ赤なセイバンモロコシの穂。オギは川岸にへばりつくように生えていただけ。
いま思い返しても、あの光景はちょっとぞっとしない。
あのような状況を放置するのは、河川の生物多様性保全の観点から、非常にまずいと思う。
国交省でも防除の対象になっているはずだが(*2)、河川敷で栽培するのに規制はないのだろうか?
*1. セイバンモロコシ(Sorghum halepense):地中海原産の多年生の大型イネ科植物で、トウモロコシの雄花のような特徴的な赤い穂をつける。
*2. 四国地整管内の河川における外来植物のポケットブック(国土交通省四国地方整備局)にセイバンモロコシの防除法が掲載されている。また、自然植生中における外来植物の防除マニュアル(暫定版)((独)農業環境技術研究所)にもセイバンモロコシが掲載されている。
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