つれづれなるままに…そこはかとなく…

ひのえさる…
誰に見せたいわけではないが、
心に留めておきたいことを文字に残したいと思い立ち…

めげる

2015-05-23 05:43:55 | 戯言
めげるよなあ…続くと。弱り目に祟り目とはよく言ったもの。

先月、? もう先月なんだ…
友人のおつれあいのお見送りをした。

「その後いかがですか?メールしないでごめんね。気にはしていたんだけど、実はね、」と始まるメールが来てからしばらく互いに自分のことが忙しくひと月二月あっという間に経ち、ご機嫌伺いのメールに「入院中です。治療が始まる予定でしたが、肺炎のため延期です。娘の結婚式には、私だけ、とんぼ返りするつもり。」と返事が来たのがほんの2か月前。

それからひと月もせずに、彼女のブリッジのパートナーから「驚かないでね、亡くなったの。」と連絡が来た。「お葬式は遠慮して、お通夜に伺って、早めに失礼しようと思うの」と言う友人に倣い、仲の良かった数人と待ち合わせてお通夜に伺った。夫婦共に面倒見がよく明るくて楽しい方なので、私たちだけでなく、それはそれはたくさんの人が来ていた。会場に入りきれず斎場の外まで列ができるほど!

母がよく言っていた。お葬式は人が多くない方がいい。人が多いと葬式が荒むからと。

お斎の場に、家族の近景が飾られていた。「急だったね。」「知らなかったよ。」と驚く声が聞こえてくる。写真の笑顔が、本人がきっと一番驚いているだろうことを物語っていた。「無念だろうね。」彼と同年配と思しき男性が泣いていた。お斎の場所は、座りきれない人でごった返していた。それぞれ知った顔を探しているが、見つけても思うようにそばに行かれない。所在なく、入り口付近や廊下で席の空くのを待つ人やあからさまに会場の不手際を責める人もいた。それぞれのいろんな「無念」が渦巻いているようで息苦しいほどだった。居た堪れなくなった私たちは早々に席を立った。

帰る前に、言葉をかけたいねと年かさの友人が言い、人の流れに逆らって、式場に戻ろうとしたが、係の人に止められた。「お嬢さんの結婚式が済んでから、ゆっくり会いましょう。」と斎場を出た。人の列は一段と長くなり夕暮れの通りまで続いていた。

お焼香した時に、彼女と目があった。何か言いたげだった。私も声をかけたかった。肩を抱いて、背中をさすってあげたかった。子供の頃は毎日のように会っていた娘さんと息子さんはすっかり大人になっていた。私たちを見つけ、「あッ」と声にならない声を上げた娘さんの顔がまぶたから離れない。私も声をかけたかった。「こんな時だけど、言わせてね。おめでとう!あなたが幸せになるのが一番お父さんが喜ぶよ」と。

「お焼香の済まれた方は、こちらへ」と退出を促され、儘ならなかった。

まだゆっくり泣く暇もないに違いないと、胸が詰まった。
やっぱりお葬式にも伺えばよかったかな。

ちゃんとお見送りできなかった心残りを珍しく引きずっている。

あの日から、ふさぎの虫に取りつかれている。