会社には、取締役のほかに監査役という役職が存在する。経営判断を積極的に行って売上と利益を伸ばしていくという役割ではないが、ガバナンスを効かせることにおいては大きな期待を持たれる職務である。
(制度の概説は、公益社団法人の日本監査役協会に会社法の権威である神田秀樹教授が説明文を寄せている)
監査役は株主によって選ばれ、場合によっては会社を代表して取締役と訴訟を起こすことも任されているなど、ガバナンスの中心的役割を担っている。
監査の観点も、業務の遂行がルール通りに行われているか、会計処理が適切に行われているか(会計監査人を自らの補佐にして確かめることになる)というもので、これらを最後の砦として確認するという任務がある。
それではこの職務を様々な企業の監査役は果たしているのだろうか…とニュースを調べると、ここでも違和感に声をあげずに済ませている東芝粉飾決算など、不正会計を会議の空気によって許容している様子が浮かび上がる。
この空気への対抗はとても困難で、せめて職務を託してくれた株主の期待に応えようとするならば、ウォーレン・バフェットがかつて社外取締役に関して述べたように
「声をあげられないなら監査役を辞めることによって企業の異常事態を伝える」
という手法が正解になるのだと思える。そしてこれをやるためには、取締役の「独立性」についての議論と同じく、個人として報酬にどれだけ頼ることになっているかを考え、「その報酬がなくとも困ることがなく独立心を保てる」という判断をできる人が監査役の資格を持つだろう
…そう考えると金持ちの名誉ポジションという気もするが、本当のところその方が当たり前の不正に堂々と声をあげる余裕をもち、良い監査役になるのではないか。
企業の業務運営に関心を持ち、堂々と声をあげられる金持ちの監査役が増えることを期待したい。
地方銀行がどのような経営実績をもつか、日米の数行を比較観察したレポート。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます