生命の歴史は人間の歴史と似ている。
とても簡単にまとめてしまってごめんなさい。
[生命の軍拡競争]と呼ばれる言葉がある。
爪、歯、ガス攻撃、毒トゲなどの捕食者の武器が強力になればなる程、捕食される側も素早く対抗策を発達させ、体を覆う鎧、動く速度、隠れる能力などを向上させ、その結果防御のための武器を持つに至る。
生命の歴史は岩石や分子に刻み込まれ、
仮説を通して語られ、ヒトの細胞内にある現在と切り離されていないDNAにも書き込まれている。
人間が今この状況で生きているのは、すべて生命の歴史がもたらした必然だ。
私達がその歴史に目を向け、その歴史が
語る警告に耳を傾ければ、人類に絶滅が迫るのを防いでくれるかもしれない。
あえて書こう。
絶滅が迫るのを遅らせてくれるかもしれないと。
[歴史は巨大な早期警戒システムだ]
ノーマン.カインズ
[人は歴史の中に閉じ込められ、歴史は人
の中に閉じ込められている]
ジェームス.ボールドウィン
ここでアッとなる。
太古の昔から続く生命の歴史を記録した体内の細胞一つ一つはDNA鎖だ。
DNAはまさしく私達人間の中に閉じ込められた歴史であり、私達の運命を支配する力でもある。
歴史を運ぶ存在であるこのDNAは、私達の中に閉じ込められていながら、私達を閉じ込めているのだとピーターウォード/
ジョセフカーシュブィングは説明する。
さらに今この世に存在するすべてのDNA
に遠い祖先達が経験した様々な試練が痕跡として残っている。
自然選択自然淘汰という無慈悲な現象を通して、蓄積されてきたものもある。
あらゆる危機があらゆる勝利が、様々な
遺伝子を足したり引いたりすることでゲノムを変化させてきた。
過去を手掛かりにすれば、すでに滅びた何十億種もの生物とヒトとの関係も見えてくる。
一つの種が絶滅すると、数え切れないほどの種が影響を受け、それぞれがたどり得た進化の未来も失われてくるという。
私達人間はみな壊滅的な大厄災によって
やかれ、時間によって冷やされてきたのである。
ローマ帝国時代に黒死病(ペスト疫病)が流行ったとき、生き残れた人はやはり変異ができた人だという。
天然痘だって忘れてはいけなかった。
[終わりの始まり]という言葉もある。
コロナ禍の中にBCG接種が抗体の一つに成っている説も有力視されてきている。
[生物はなぜ誕生したのか]より
Peter Ward /Joseph Kirschvink著
梶山あゆみ訳
とても簡単にまとめてしまってごめんなさい。
ここまでのお付き合い誠にありがとう
ございました。