早朝、王子駅付近で発生した沿線火災は、そばを通るJR線ばかりか、近所を通る都電荒川線をもストップさせたえらい火災だったのだけれど、その中で投じられた産経新聞の記事は、記者の不見識さを露呈する形になりました。
JR王子駅近くで早朝火災=4人けが、運転5時間見合わせ―東京(時事通信) - goo ニュース
この火事の影響で、京浜東北線はおろか、宇都宮線と高崎線も大宮駅での折り返しが出来ないため一時全面ストップ。
午前11時ごろに運転を再開し、一時は今日一日の運行は無理だろうと見られていた湘南新宿ラインも、お昼過ぎには運行再開にこぎつけた。
隣接する線路の架線や信号ケーブルにも燃え移るほどの大規模火災であったため、JRの運転見合わせ時間は5時間にも及んだこの火災、切り口を一つ変えると、こんな記事になります。
産経新聞から。
王子の沿線火災、首都圏の交通混乱招く 脆弱な運行体制露呈 - MSN産経ニュース
( ´Д`)y━・~~
脆弱な運行体制ねえ…。
宇都宮線も高崎線も、配線の都合で大宮折り返しがしづらい環境になっているのが、大宮以北の混乱に拍車をかけたという事実は否めないにしても、今回のような大規模火災でJRの運行体制に苦言を呈するのはお門違いかと。
そもそも、湘南新宿ラインが走る東北貨物線の信号ケーブルや架線までもが焼けてしまうほどの火災だったのだから、湘南新宿ラインがストップしてしまうのは仕方がない話で、線路上に消防団員が立ち入るという話になれば、隣を走る宇都宮線や高崎線、さらに隣を走る京浜東北線を止めなければならないのは、仕方がない話だと思うのだ。
架線がやられれば送電もストップしなければならないが、その区間が東十条駅にかかっていれば、東十条での京浜東北線の折り返しすら出来ない話になってしまう。
そして火災が発生したのが早朝ということで、籠原や小金井から出庫した列車は軒並み上り向きで、都心側の列車はほぼ封じ込め。
わずかに新潟方面のスキーヤー用の臨時列車「シーハイル上越」が、週末ということで大宮付近に待機していたので、急遽この臨時列車を高崎線内を各駅停車扱いにして救済できたくらいで、列車が出庫していない段階で長時間運行がストップしたら、列車ダイヤの回復には大幅に時間がかかることくらい、産経新聞で鉄道を担当している記者がいたとするならば、理解しえてもよさそうなものなのだが。
それら全部をひっくるめて「トラブル時の復旧が遅れるなど脆弱な運行体制が浮き彫りとなった形だ」としてJRを批判するなら、正直これ以上反論のしようがない。影響が広範囲に及ぶのは避けられない話だからだ。
脆弱な運行体制を批判するなら、今回の沿線火災より、批判する材料は毎日の通勤時にいくらでも転がっているだろう。
毎日のように繰り返される人身事故、線路内人立ち入り、急病人救護、非常停止ボタン扱い…など。もちろんそれらの大部分は、JRにはなんら責がなく、通常運行しているはずなのにあちらからトラブルを持ちかけられてくることが大半であり、それらの事象で正規運行が妨げられることによる社会全体の損失こと批判されなければならないと思うのだが。
もちろん、全てにJRに責任が無いかと言われれば決してそうではないし、例えば今回の沿線火災にしろ、配線の都合があるとはいえ、異常時に臨機応変な折り返し運転が全く出来ないJRの体制、或いはJR他社が発車時に車掌から発車合図を送ることによって列車が発車するよう規定を改めているにもかかわらず、JR東日本だけは頑なに連絡ブザーを使用せず、未だに目視と戸閉めランプだけに頼った運行体制を貫いているのは、もちろんJR東にもそれなりの理由があるとは思うし、それだけで戸挟みがなくなるとは思っていないが、保安度の向上には繋がるはずであるし、なぜ踏み切らないのか理解に苦しむところ。
しかし、今回の産経新聞の記事は正直解せない。
解せないというより、社会部の記者が書いたのかデスクの記事なのかは分からないが、あまりにも列車運行のシステムについての理解がない記事ではないだろうか。
あれだけの火災が線路の至近で起きたならば、長時間にわたって列車がストップするのは仕方がないし、列車の出庫時間に重なればなおのこと混乱する。
今回、この事故に巻き込まれて移動に苦労された方にはお見舞いを申し上げる他ないけれど、沿線火災による輸送混乱まで全てにJRに責を負わせるのは、筋が違う話ではないだろうか。
もっというなれば、今回に限っては、火災の規模にしては、JRの復旧は予想に反して早かった。午後には湘南新宿ラインも動き出したのは、普段のJR東日本の運行体制を見ている側からしたら、むしろ驚きの対象ですらあった(笑)。
まあ、記事を書いた記者の言わんとする主張が、「臨機応変な折り返し運転を」というのなら同意なんですわ。
ただ「叩けばいい」という記事ならお門違いというか、不見識ではないか…と思うのだ。
JR王子駅近くで早朝火災=4人けが、運転5時間見合わせ―東京(時事通信) - goo ニュース
21日午前5時50分ごろ、東京都北区王子のJR王子駅近くの木造2階建て店舗兼住宅から出火、建物2棟計約600平方メートルが全焼し、男女4人がけがをして病院に搬送された。
警視庁王子署や東京消防庁によると、60~80代の男女3人が煙を吸うなどして軽いけが。74歳の女性が一酸化炭素中毒などで重体という。
出火元の住宅に住む女性(23)は「電気ストーブをつけて寝てしまった。火が布団に燃え移った」と話している。
現場はJR王子駅のすぐ近くで飲食店が立ち並ぶ地域。
JR東日本によると、火災で信号ケーブルなどが損傷したため、高崎線全線や、京浜東北線と宇都宮線の一部区間で運転を最大約5時間見合わせた。
この火事の影響で、京浜東北線はおろか、宇都宮線と高崎線も大宮駅での折り返しが出来ないため一時全面ストップ。
午前11時ごろに運転を再開し、一時は今日一日の運行は無理だろうと見られていた湘南新宿ラインも、お昼過ぎには運行再開にこぎつけた。
隣接する線路の架線や信号ケーブルにも燃え移るほどの大規模火災であったため、JRの運転見合わせ時間は5時間にも及んだこの火災、切り口を一つ変えると、こんな記事になります。
産経新聞から。
王子の沿線火災、首都圏の交通混乱招く 脆弱な運行体制露呈 - MSN産経ニュース
JR王子駅付近の沿線火災では首都圏を貫く大動脈に大きな混乱を招き、約22万4千人の足に乱れが生じた。現場付近が有数の鉄道並走区間だったことに加え、安全運行に欠かせない信号ケーブルなどが損傷したため、被害が拡大した。
火災現場近くの同駅付近は、JRの京浜東北線や宇都宮線、高崎線の電車が並走。さらに、火災現場に最も近い東北貨物線の線路を湘南新宿ラインの電車や、東武線に直通する観光特急などが走っている。
JR東日本東京支社などによると、火災の影響で線路の隣に敷設された信号ケーブルや送電線の一部が損傷。電車に電気を送る「架線」の一部も黒く焦げたため、部品の交換などが必要になったという。東北・上越新幹線も現場付近を並走しているが、信号ケーブルなどが在来線とは別系統だったため影響がなかった。
JRではケーブルなどの復旧作業を急ぎ、湘南新宿ラインを除く各線は約5時間で順次運転を再開した。
一方、湘南新宿ラインの運転再開には、さらに約2時間を要した。高崎線、両毛線、宇都宮線から都心部の東北貨物線、山手貨物線を経由し、東海道線、横須賀線方面に乗り入れているため、各路線のダイヤ調整に時間がかかったという。
首都圏を貫く大規模な直通運転で利便性は向上したが、トラブル時の復旧が遅れるなど脆(ぜい)弱(じゃく)な運行体制が浮き彫りとなった形だ。
( ´Д`)y━・~~
脆弱な運行体制ねえ…。
宇都宮線も高崎線も、配線の都合で大宮折り返しがしづらい環境になっているのが、大宮以北の混乱に拍車をかけたという事実は否めないにしても、今回のような大規模火災でJRの運行体制に苦言を呈するのはお門違いかと。
そもそも、湘南新宿ラインが走る東北貨物線の信号ケーブルや架線までもが焼けてしまうほどの火災だったのだから、湘南新宿ラインがストップしてしまうのは仕方がない話で、線路上に消防団員が立ち入るという話になれば、隣を走る宇都宮線や高崎線、さらに隣を走る京浜東北線を止めなければならないのは、仕方がない話だと思うのだ。
架線がやられれば送電もストップしなければならないが、その区間が東十条駅にかかっていれば、東十条での京浜東北線の折り返しすら出来ない話になってしまう。
そして火災が発生したのが早朝ということで、籠原や小金井から出庫した列車は軒並み上り向きで、都心側の列車はほぼ封じ込め。
わずかに新潟方面のスキーヤー用の臨時列車「シーハイル上越」が、週末ということで大宮付近に待機していたので、急遽この臨時列車を高崎線内を各駅停車扱いにして救済できたくらいで、列車が出庫していない段階で長時間運行がストップしたら、列車ダイヤの回復には大幅に時間がかかることくらい、産経新聞で鉄道を担当している記者がいたとするならば、理解しえてもよさそうなものなのだが。
それら全部をひっくるめて「トラブル時の復旧が遅れるなど脆弱な運行体制が浮き彫りとなった形だ」としてJRを批判するなら、正直これ以上反論のしようがない。影響が広範囲に及ぶのは避けられない話だからだ。
脆弱な運行体制を批判するなら、今回の沿線火災より、批判する材料は毎日の通勤時にいくらでも転がっているだろう。
毎日のように繰り返される人身事故、線路内人立ち入り、急病人救護、非常停止ボタン扱い…など。もちろんそれらの大部分は、JRにはなんら責がなく、通常運行しているはずなのにあちらからトラブルを持ちかけられてくることが大半であり、それらの事象で正規運行が妨げられることによる社会全体の損失こと批判されなければならないと思うのだが。
もちろん、全てにJRに責任が無いかと言われれば決してそうではないし、例えば今回の沿線火災にしろ、配線の都合があるとはいえ、異常時に臨機応変な折り返し運転が全く出来ないJRの体制、或いはJR他社が発車時に車掌から発車合図を送ることによって列車が発車するよう規定を改めているにもかかわらず、JR東日本だけは頑なに連絡ブザーを使用せず、未だに目視と戸閉めランプだけに頼った運行体制を貫いているのは、もちろんJR東にもそれなりの理由があるとは思うし、それだけで戸挟みがなくなるとは思っていないが、保安度の向上には繋がるはずであるし、なぜ踏み切らないのか理解に苦しむところ。
しかし、今回の産経新聞の記事は正直解せない。
解せないというより、社会部の記者が書いたのかデスクの記事なのかは分からないが、あまりにも列車運行のシステムについての理解がない記事ではないだろうか。
あれだけの火災が線路の至近で起きたならば、長時間にわたって列車がストップするのは仕方がないし、列車の出庫時間に重なればなおのこと混乱する。
今回、この事故に巻き込まれて移動に苦労された方にはお見舞いを申し上げる他ないけれど、沿線火災による輸送混乱まで全てにJRに責を負わせるのは、筋が違う話ではないだろうか。
もっというなれば、今回に限っては、火災の規模にしては、JRの復旧は予想に反して早かった。午後には湘南新宿ラインも動き出したのは、普段のJR東日本の運行体制を見ている側からしたら、むしろ驚きの対象ですらあった(笑)。
まあ、記事を書いた記者の言わんとする主張が、「臨機応変な折り返し運転を」というのなら同意なんですわ。
ただ「叩けばいい」という記事ならお門違いというか、不見識ではないか…と思うのだ。
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