旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

チベタンターコイズのアンティークの定義

2025年01月28日 | チベットもの



アンティークの定義とは
「100年以上を経過した物」というのは
骨董の世界、古物業界では常識です。

では、
チベット仏教圏や僻地や辺境、
業界以外の現地ではどうなんでしょうか、という話題です。

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チベタンターコイズを例にしてみましょう。

現地では「チベット人の」を意味する「チベタン」は付けず、
単にターコイズを意味する「ユゥ」と呼ばれます。

チベタンターコイズは、
チベット語で

「ニンバ(古い)」か
「サパ(新しい)」で

判別されております。

アンティークという言葉は付随されず、
アンティークという概念も一般的にはありません。
正確には、その定義は知られていません。

なので、そもそも
アンティーク・チベタンターコイズという名称は現地では存在しません。

売買業者は言う時がありますが、一般人はその名を呼びません。
僕も日本で説明する便宜上、その言葉を用いているだけです。

僕の経験上、
チベット仏教の古い物に関して、
上記の「100年以上経過したか否か」の定義においてのアンティークは、
現地の一般人にとって、意味は薄いです。
チベタンターコイズに関しても同様です。

50年物だろうが
150年物だろうが
その違いはほぼありません。

もちろん、それらを売買する業者やコレクターはこだわります。
僕もこだわります。

しかし、
チベット仏教圏での一般人は気にしません。

彼らは「ターコイズを、質や色、大きさや形」で価値を判別します。
古いかどうかの優先順位は低いです。

それが何故か販売の場に置いては、
時として、古さで値段も違いが出てしまいます。

それがリアルです。

ではアンティークのチベタンターコイズとは何でしょう?


現地の一般人の目線でターコイズを見るか
業者やコレクターや外国人の目線で見るか


その違いと思えます。

これは僕の想像ですが、
古い物を趣向する以外の人々、
日本を含めた世界の一般的な人々では、
「アンティーク(または古代)の年代か、それ以外か」
それを気にする人は、ほとんど居ないでしょう。

専門家などに言われてみれば、
「あぁ、そうなのか」
という感想ぐらいでしょう。

もしくは
「それは価値がありますね」とも
思うかもしれません。

しかし、その感想は何処かの情報を元にした価値観です。

それはチベット本土のチベット人、ラダックやザンスカール、ネパールなどの
チベット仏教圏の人々にとっても、基本は同じであります。

また、僻地へ行けば行くほど、
アンティークという概念は薄れます。

そう

「アンティーク」という言葉は、
先進国の人間、
学者や業者が勝手に分類した言葉と思えるのです。

実際にアンティークの定義は、
1934年に決められたアメリカの通商関税法に基づきます。


そして少なくとも、
僕が知る限り、古いチベタンターコイズに関しては、
アンティークという概念は
チベット仏教圏の一般人にとって
最も重要に置かれる条件ではありません。


その、何処かの誰かが決めた物差しの既存価値で物を見るか
それとも自分の気に入った物を求めるか、は
人それぞれになるでしょう。


僕は物語のあるモノを求めています。
オリジナルを求めています。
美しさを求めます。

そのための旅でもあります。


それを言いたいだけでした。



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